クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。
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第236回 プロコフィエフ オペラ『3つのオレンジへの恋』より「行進曲」
イラスト/なめきみほ
亡命途上で構想したプロコフィエフの名作
今日4月23日は、20世紀を代表する旧ソ連の作曲家セルゲイ・プロコフィエフ(1891~1953)の誕生日です。
代表作として名高いオペラ『3つのオレンジへの恋』は、ロシアから日本を経由してアメリカへ亡命する旅の途中で構想したと伝えられる名曲です。イタリアの劇作家カルロ・ゴッツィ(1720~1806)による寓話を原作としたこのオペラは、1921年12月30日にシカゴ歌劇場においてプロコフィエフ自身の指揮によって行われ、大成功を収めます。
オペラの初演に先立つ1919年には、オペラの中から6曲を抜き出した組曲を編纂しているあたりが、いかにも抜け目のないプロコフィエフ。今ではコンサートで頻繁に演奏される人気曲となっているのですから、彼の先見の明が感じられる出来事です。
中でも印象的なメロディを持つ「行進曲とスケルツォ(第3曲と4曲)」は、後にプロコフィエフ自身によってピアノ用に編曲されているほか、さまざまな楽器によって演奏される名曲です。
田中 泰/Yasushi Tanaka一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。