長崎県壱岐島にある離島唯一の5つ星旅館「壱岐リトリート海里村上 by 温故知新」に誕生した、期間限定特別室「家庭画報スイート」。“泊まれるアートギャラリー”をコンセプトに、九州が誇る伝統工芸品やアートなど全40作品を、趣向をこらして展示し、五感で愉しめる客室です。
今回は客室内に展示されている茶碗などの器をご紹介いたします。宿泊できるのは2024年6月14日までなので、新緑が美しいこれからの季節に是非ご体験ください。前回の記事はこちら>>>
和室にご用意したのは、焼き物の産地、九州各地で集めた茶碗です。茶碗の存在が引き立つように、あえて木材の質感を生かした新しい空間を作りました。まず、一つひとつの茶碗を手に取って、じっくりと眺めて。さて、どの器で一服のお茶をいただきましょうか。例えば、今目の前に広がる空に、一番近いものを選んでみるのはいかがでしょう。もしくは海の色に、一番映えるものを選んでみるのもいいでしょうか。
コーヒーやお菓子を召し上がる器も、九州のものを厳選しました。器をすべては展示せず、思いがけないところで作品と出会うおもしろさも大切にしています。それぞれの器の手触り、細部まで光る職人技、こだわりの器で召し上がることで生まれる香りや味わいを、心ゆくまでお楽しみください。
「登り窯 平戸白磁平茶碗(のぼりがま ひらどはくじひらちゃわん)」
三川内焼 口径14㎝ 高さ5㎝
天草陶石を使用した平茶碗。登り窯による焼成で、薪として使った赤松の灰が茶碗の表面に溶け込み、アンティークのような雰囲気があるのが特徴。登り窯独特の釉の縮れを風景に見立てて楽しむことができる。
「黄陶茶碗(おうとうちゃわん)」
ロ径11.5㎝ 高さ7.5㎝
氏の作品は、磁器土を使用したアーティスティックで個性的な作品が多いが、この器は優しく手になじむ丸みと鮮やかな黄色が特徴となっている。明るい黄色、抹茶のグリーンが美しいコントラストを生む。
「沓形茶碗(くつがたちゃわん)」
髙取焼 口径13.0㎝ 高さ7.5㎝
髙取焼の古窯である内ヶ磯窯の沓形の茶碗にならって作られたもの。高台まわりの削りを当時の作品そのままに再現しており、本来の雰囲気よりも上品に仕上がっている。
「花霞(はながすみ)」
有田焼 口径12×9.8㎝ 高さ9.3㎝
氏の代表作ともいえる、釉薬「花霞」。藁灰釉をベースに、銅と鉄と長石をランダムに掛け、最後に薄めの灰釉を全体にコーティングすると、5種類の釉薬が混じり合うことで花が霞がかったような景色が生まれる。
「volcanic bowl(ぼるかにっくぼうる)」
ロ径9.8㎝ 高さ9㎝
自身で調達した阿蘇の火山灰を入れた土と、溶岩の成分が含まれる釉薬で作られた器。 手に取ると自然の土ならではの風合いがあり、地球そのもの、大地のエネルギーを感じることができる。
「緑青碗(ろくしょうわん)」
種子島焼 口径12㎝ 高さ6㎝
鉄分の多い種子島の土と窯の中の火、そして灰によって緑青を思わせる質感と色合いが生まれた。釉薬の掛け方や窯の中の酸化・還元を巧みに使い分けることにより、独特な風合いを生み出す。
「玄釉銀彩碗(げんゆうぎんさいわん)」
武雄焼 口径9.5㎝ 高さ7㎝
氏が生み出した金属のような質感を醸す黒い釉薬「玄釉」は、見る角度で異なる表情を見せ、使うほどに艶やかさを増す。表面の釉薬の結晶が、星のような輝きを放つ。内側には銀彩が施され、一層華やかな印象に。
「白釉茶碗(はくゆうちゃわん)」
ロ径13.5㎝ 高さ8㎝
白釉をかけ、穴窯の後方で焼かれたもの。釉が厚いところには、梅花皮(かいらぎ。釉薬が縮れてできた独特な模様)が出ており、シンプルな中にも豊かな表情が見られる。
「辰砂釉抹茶碗(しんしゃゆうまっちゃわん)」
上野焼(あがのやき) 口径11㎝ 高さ7㎝
上野焼の伝統的な緑釉(りょくゆう)を用い、緑釉とは違う焼き方をすることで得られる辰砂の抹茶碗。辰砂は本来赤みが強い釉薬だが、「庚申窯」の辰砂は現代の色調に合う穏やかな藤色に発色する。
「レモングラス釉茶碗(ゆうちゃわん)」
武雄古唐津焼 口径14.5㎝ 高さ 9.5㎝
武雄市の名産、 レモングラスを釉薬に使用した器。調合の比率や炎のあたり方などで、赤みが強く出たり緑がかったり、様々な色になる。使い込むと小さく入ったヒビが染まり、異なる風合いに器が育つ。
「青唐津面取茶盌(あおからつめんとりちゃわん)」
唐津焼 口径12.5×11.2㎝ 高さ8㎝
生地に木灰釉を掛けて薪窯で焼成したもの。釉薬がガラス状に溶け、へらで削った表面に深緑色の釉だまりを作り、存在感のある美しい濃淡となって現れている。
「青白磁碗(あおはくじわん)」
有田焼 口径10.7㎝ 高さ7.8㎝
空の青や水の波紋、四季など自然をイメージした作品。巧みなろくろ技術で作られた端正な白磁の器に、とろりと掛かった淡い青磁釉がたまり、水の流れのような景色を生む。縁は薄く引かれ、口当たりのよさも魅力。
壱岐リトリート海里村上 by 温故知新
長崎県壱岐市勝本町立石西触119-2〔アクセス〕
博多港(福岡県)から:高速船で壱岐まで約1時間、島内各港から車で約15分
長崎空港から:飛行機で壱岐空港まで 約30分、空港から車で約25分
唐津東港(佐賀県)から:フェリーで 壱岐まで約1時間45分、印通寺港から 車で約20分
壱岐リトリート海里村上 by 温故知新「家庭画報スイート」
1室2名利用で1泊2食付き1名8万8000円~
IN 15時~19時/OUT 11時
ご宿泊可能期間:2024年6月14日(金)まで
ご宿泊特典
1)檜の客室温泉露天風呂
2)九州の伝統工芸品やアートが愉しめる客室
3)九州産ドリンクを厳選したミニバー
4)館内の貸切露天風呂(45分)利用
5)有田焼の豆皿と家庭画報最新号(プレミアムライト版)のお土産
●家庭画報スイートの詳細・ご予約
URL:https://www.kairi-iki.com/kateigaho-suite
電話:0920(43)0770
撮影/久間昌史