〔特集〕20世紀&21世紀にグルマンを魅了 世界のスーパーシェフ列伝 美食は時代を映す鏡──。フランス料理を起点に、卓越した才能で各時代を牽引したスーパーシェフたちの功績と美食界の進化を辿る旅へとご案内します。
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オーギュスト・エスコフィエ(1846~1935)
【19世紀末~1900年代】
エスコフィエがフランス料理を体系化。伝統的高級料理(オートキュイジーヌ)の礎が築かれる
19世紀末以降のヨーロッパでは、鉄道網の発達を背景に観光文化が成長し、豪華大型ホテルが相次いでオープンしました。それらを舞台に活躍したのがオーギュスト・エスコフィエです。「ホテル王」セザール・リッツと組み、モンテ=カルロの「グラン・トテル」、ロンドンの「サヴォイ・ホテル」、パリの「オテル・リッツ」などを成功に導きました。
その成功の素地にあったのが、料理の近代化です。それまでの高級フランス料理には宮廷料理と、フランス革命以降に街場で発達したレストラン料理の2つの流れがありましたが、彼はそれらを統合。さらに膨大なソースのレシピを無駄を省きながら体系立てるなど効率化を図り、今に至る伝統的な高級料理のベースを築いたのです。
〔その頃日本では?〕1890年「帝国ホテル」開業。1900年以降は「日比谷松本楼」など高級洋食店も開業。
歴史を統合、整理した近代フランス料理の祖
オーギュスト・エスコフィエ
ニース近郊生まれ。30代前半でパリ随一の老舗のシェフに大抜擢されるなど、レストラン業界で大活躍していたが、セザール・リッツと出会い、ロンドンの「サヴォイ・ホテル」をはじめとする数々の豪華大型ホテルを成功させる。その際、ソースや火入れの方法などで複雑な手順を要すフランス料理のレシピを、徹底的な構造分析で効率化・体系化。成果をまとめた著書『ル・ギード・キュリネール』(1903年)は現代でもフランス伝統料理のバイブル的存在だ。
(次回に続く。
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