〔特集〕20世紀&21世紀にグルマンを魅了 世界のスーパーシェフ列伝 美食は時代を映す鏡──。フランス料理を起点に、卓越した才能で各時代を牽引したスーパーシェフたちの功績と美食界の進化を辿る旅へとご案内します。
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フェルナン・ポワン(1897~1955)
【1920年代~】
『ギード ミシュラン』が誕生。地方の美食にも光が当たる
20世紀前半のヨーロッパでは、当時登場した自動車で旅行を楽しむ人が増えました。それに伴い、フランスでは地方の豊かな食への関心が高まります。タイヤメーカー「ミシュラン」による自動車旅行ガイドブックでも、1933年から3段階の星によるレストラン評価を開始するなど、旅行者の美食への興味を後押しします。
エスコフィエが確立した近代フランス料理を地方の料理人が身につけて帰郷、その技術と思想を取り入れて郷土料理を魅力的に表現する例も多く見られました。
地方の美食をテーマとして多く扱った著述家、キュルノンスキーの活躍も見逃せません。リヨン近郊の「ラ・ピラミッド」、「メゾン・ピック」などを特に名店として広く紹介しました。
〔その頃日本では?〕1927年横浜に「ホテルニューグランド」開業。シェフはスイス人のサリー・ワイル。
地方の美食をきわめ次世代につなげる
フェルナン・ポワン
ブルゴーニュ地方の料理人の家に生まれ、パリの豪華ホテルで修業。近代化されたフランス料理を学び、父が1923年に買い取ったヴィエンヌのレストランを2年後に継ぎ、「ラ・ピラミッド」に改名。“その日に市場で仕入れた材料を用い、きわめて簡素でありながら味わい深さと洗練を備えた料理を作る”とキュルノンスキーをはじめとする美食家たちに賞賛された。マダムの名サービスと相まって、世界的名店へと発展。次世代のスターシェフも多く育てた。
(次回に続く。
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