〔特集〕20世紀&21世紀にグルマンを魅了 世界のスーパーシェフ列伝 美食は時代を映す鏡──。フランス料理を起点に、卓越した才能で各時代を牽引したスーパーシェフたちの功績と美食界の進化を辿る旅へとご案内します。
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ミシェル・ブラス(1946~)
写真/BRAS_BOURSE DE COMMERCE_PINAULT COLLECTION MAXIME TETARD
自然との対話が生む哲学的な料理
フランスの中央高地、オーブラックの山の中でオーベルジュを営む両親のもとに生まれ、母と書物から料理を学ぶ。インスピレーションの源は故郷の自然。思索を重ねた末のシンプルな表現、鮮やかな風味の構築は独創的で、特に約80種類の野菜、花、ハーブなどをそれぞれ最適な方法で調理して盛りつけた「ガルグイユ」は革命的な料理と称された。1980年代半ばから注目を集め続けているが、自然を尊重する彼の料理思想は今の料理人にも、強く響く。
【主な弟子】
米田 肇(大阪「HAJIME」)、小岸明寛(福岡「KOGISHI」)
〔師匠の横顔〕生江史伸さん西麻布「レフェルヴェソンス」エグゼクティブシェフフレンチの厨房ではヒエラルキーが統制を司り、長は「シェフ」や「ムッシュ」と呼ばれることが多いですが、彼はその慣習を受け入れず、自分を「ミシェル」と呼ばせていました。そこから表れる性格は、人間だけでなく、動物、植物にも尊厳を持って接するもの。彼のこうした性格から、代表作ガルグイユが生まれたのだと感じました。
(次回に続く。
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