歯周病の予防から治療まで
自宅での毎日のケアと歯科での定期的なチェックで予防・治療を
予防
●毎日の歯のブラッシングと歯間部の清掃(歯科で指導を受けるとよい)
●歯科で定期的にチェックを受け、プラークや歯石がついていれば除去してもらう
●禁煙する
●ビタミン類、カルシウム、マグネシウム、食物繊維、乳製品、乳酸菌を十分に摂取する
●よく嚙んで食べる(シュガーフリーでキシリトール含有量の多いガムを嚙むのもよい)
●糖尿病を予防・治療する
歯科での診察・検査
歯周組織の主な診察・検査●口腔内の写真を撮影する
●歯肉の炎症の有無を視診で評価
●探針を用いて歯肉の縁などからポケットの深さを測る
●探針を用いてポケットからの出血の有無をみる
●プラークや歯石の有無、付着状態をチェックする(染め出しを使うこともある)
●歯の揺れの有無や度合いをチェックする
●X線検査で歯根や歯槽骨などの状態をみる
●嚙み合わせの状態をチェックする
→初期には自覚症状はほとんどないプラーク細菌の種類や量の検査、唾液の検査、血液検査などを行うこともある
ほかの病気の診察時
歯が痛む、口臭が気になるなどの際に歯周病についても調べてもらう
自治体検診
自治体では定期的に歯科口腔検診を行っている
ホームページなどで検診の有無を調べることができる
健康診断・人間ドック
歯や歯肉、口腔内をチェックする「歯科ドック」「歯科口腔検診」などがある
→「歯周病の疑い」「歯周病」と判定されたら、必ず歯科へ! 診断
上記の歯周組織の診察や検査などから、「歯肉炎」か「歯周炎」かを診断する
歯肉炎歯肉の縁の周辺のみに炎症が起こっている(歯肉の発赤、出血、うずき、痛み、腫れなどの症状がみられる)、ポケットはあるが、歯と歯肉の付着部は破壊されていない、X線画像で歯槽骨の吸収(溶けて減ってしまった状態)はない
→「歯肉炎」にはプラークが原因になるものと、プラークだけではなく、アレルギーや外傷などが原因になるものがある。薬物の副作用によって歯肉が増殖する場合もある歯周炎上記の歯肉炎よりも進行した状態であることを確認し、下記の「ステージ」や「グレード」を判定する
ステージ(ⅠからⅣに分類。Ⅳが最重度)重症度:歯と歯の間のポケットの深さの最も大きな値、X線画像でみる歯槽骨の吸収量、歯周炎による歯の喪失本数など
複雑度:最大のポケットの深さ、歯槽骨の吸収形態、口腔機能など
その他:歯周炎の広がっている範囲など
グレード(A 、B 、Cに分類。Cが最重度)病態の進行スピード、治療による病態の治り具合、喫煙量や糖尿病の有無など
治療
●毎日の歯のブラッシングと歯間部の清掃を励行する
●入れ歯やブリッジ、インプラントなど歯を失った部分の補綴(ほてつ)処置
●歯科で定期的にブラッシングの状態や歯肉の状態などのチェックを受け、プラークや歯石がついていれば除去してもらう
●禁煙する
●歯周外科手術(歯肉を開いての歯石の除去、歯周組織を再生させる治療、歯肉の見た目をよくする治療など)
→進行して出る症状歯肉から血や膿が出る、口臭、歯肉が下がる、歯と歯のすき間が大きくなる、歯が揺れる、歯が抜けるなど歯肉や歯の症状のほか、脳卒中、認知機能の低下、狭心症・心筋梗塞、感染性心内膜炎、誤嚥性肺炎、糖尿病、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)、慢性腎臓病(CKD)、早産・低出生体重児の出産などに関係することがわかっている
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