【もう迷わない! ジュエリー&ウォッチ選び】第12回 「カルティエ」
ジュエリーや時計は「一生もの」。では私たちは、いつになったら「一生もの」と巡り合えるのでしょう? 40代以降は、自ら「一生もの」に出会う旅に出る時期だと、スタイリストのおおさわ千春さんは言います。この連載では、毎月、おおさわさんと、家庭画報.com編集長の鈴木が人気のジュエラーを訪ね、今の、そしてこれからの人生を共に歩むジュエリー&ウォッチを探します。
第12回は日本上陸50周年の今年3月、ハイジュエリーが常時並ぶハイエンドブティックとしてオープンしたカルティエ ブティック 麻布台ヒルズ店へ。輝きの殿堂の扉を開きましょう。
2024年3月27日、春の訪れとともにオープンしたカルティエ ブティック 麻布台ヒルズ店。東京の新名所、麻布台ヒルズの街並みに柔らかく溶け込むそのブティックのファサードは、カルティエがデザインにおいて追求し続けてきた「動き」をテーマに、日本人建築家の永山祐子さんが手掛けたもの。扉を開くとそこには、めくるめく世界が広がっていました。
おおさわ:ドキドキしながら店内に一歩足を踏み入れましたが、本当に素敵な空間ですね。
鈴木:内装はパリ本店のデザインをした建築家の1人でもあるローラ・ゴンザレス氏によるものだそうです。贅沢な隠れ家といった印象ですね。
おおさわ:日本とフランスの融合をテーマにしていると伺いました。なんともいえない温かみに溢れていて、すごく好きになりました。
鈴木:このカルティエ ブティック 麻布台ヒルズ店は、ハイジュエリーを常時取り揃えるブティックで、なかなかお目にかかれないジュエリーが並んでいます。
おおさわ:本物のハイジュエリーをこうして見ていると、カルティエというメゾンが脈々と受け継いできた技術力やデザイン力に改めて感動しますね。
鈴木:そうですね。創業が1847年ですからもう177年間、ぶれることなくカルティエ スタイルを貫いてきたラグジュアリーメゾンです。
おおさわ:カルティエは常にモダンなんですよね。もちろん歴史の奥深さも感じますが、いつも進化して、前に向かって動いている印象があります。
鈴木:カルティエといえば“パンテール”、アールデコ スタイル、そしてなんといってもストーンの素晴らしさ。ダイヤモンドにルビーやサファイア、エメラルド……。
おおさわ:大粒の最高級の石、そして色合わせの独特の個性、ユニークなデザイン。本当にこのブティックにいると、美術館にきているような気持ちになってきます。
鈴木:美術館といえば、今年カルティエは日本上陸50周年のアニバーサリーイヤーを迎えています。それを記念した展覧会が、上野の東京国立博物館の表慶館で開催されるそうです。タイトルは「カルティエと日本 半世紀のあゆみ 『結 MUSUBI』展 —— 美と芸術をめぐる対話」。6月12日(水)から7月28日(日)の会期ですので、これもぜひ見に行かなくてはなりませんね。
おおさわ:貴重なアーカイブピースやプライベートコレクションも満載のようですね。今から楽しみです。
鈴木:さて、今日、おおさわさんがセレクトしてくださったジュエリーは、いつもとちょっと違いますね。
おおさわ:はい、今日の主役はブローチです。
鈴木:わ、難易度が高い印象です。
おおさわ:そうおっしゃるかたが多いんですよね。どこにつけていいかわからない、どんなアイテムに合うのかわからないと。でもね、味方につけるとこれほど効果的なジュエリーはないんですよ。
鈴木:そうなんですか! 俄然興味が湧いてきました。まずおおさわさんが選ばれたのが、様々なカットの大粒のダイヤモンドが輝くブローチですが……。
おおさわ:これはタンポポをモチーフにしたデザインなんだそうです。息をふっと吹きかけて綿毛が空へ飛んでいくその瞬間をダイヤモンドで表現しているんですね。
鈴木:こういう自然の造形美を形にするのが、本当にカルティエはお上手ですよね。ものすごく躍動感があります。
おおさわ:ブローチは自分の好きなところにつけられるのが最大の強みです。ネックレスだとつける場所が決まってしまうでしょう? どうしても首から下にポイントがきてしまいます。ところがブローチは違う。おすすめは、顔に近い場所につけて、顔とワンセットで見てもらうようなアレンジ。今日はジャケットの上襟につけてみますね。
鈴木:うわぁ、素敵です! 王道のブローチ使いという印象です。
おおさわ:つける向きに決まりはないんですよ。襟があるとかないとか、その日の洋服のデザインや雰囲気に合わせて、縦につけても横につけても構いません。
鈴木:自由度が高いんですね。
おおさわ:帽子につけてみたり、帯留めにしても素敵ですよね。このブローチは実はピンが3本ついていて、ヘアクリップにもなるんですよ。
鈴木:帽子や髪など、普段はないところに輝きがあると目を引きますね。
鈴木:そして私には「パンテール ドゥ カルティエ」のブローチを選んでいただきました。サファイアの斑点にエメラルドの瞳……すごくしなやかで気高い雰囲気です。
おおさわ:カットソーなどにブローチをつけるときは、鎖骨を基準に考えます。鎖骨の上にのせるか、下につけるかで印象はだいぶ変わってきます。今日はパンテールが鎖骨の上を散歩しているイメージで、動きを感じるようにつけてみました。
鈴木:なるほど、アニマルモチーフは、そういう視点でつけてみるのも楽しいですね。
鈴木:そしておおさわさん、ブローチはもちろんなのですが、この時計が美しすぎて。「ベニュワール」というコレクションですよね?
おおさわ:仕事柄、これまで様々なタイプの「ベニュワール」を見てきましたが、これは初めて見ました。こういうハイジュエリーアイテムがあるというのも、このブティックの大きな魅力ですね。
鈴木:なかなか日本には入ってこない逸品に出会えるという醍醐味を堪能しました。
おおさわ:もう1つ、ブローチコーディネートのテクニックを紹介しますね。細いボウタイ状のスカーフ、バンドーを例に使ってみましょう。首に巻いて結び目を作り、そこにブローチを留めるんです。
鈴木:これはチャレンジしやすいですね。ブラウスのボウタイでもアレンジできそうです。
おおさわ:そうですね。リボン結びにして真ん中に留めてもいいし、結ばずにくるくると首に巻いてハイネック風にしたところに留めても素敵です。
鈴木:それにしてもこのブローチも素晴らしいですね。深いルビーの色に引き込まれます。
おおさわ:とてもカルティエらしい、アールデコ調のデザインも素敵。こういうシンメトリーな形のブローチは、ジャケットでもカットソーでもスカーフでも、いろんなアイテムと合わせやすいと思います。
鈴木:今日はカルティエのハイジュエリーにすっかり魅了されつつ、ブローチに開眼した一日でした。
おおさわ:お洒落のアップデートのためにも、ぜひブローチ使いにチャレンジしてみてくださいね。
カルティエ ブティック 麻布台ヒルズ店
東京都港区麻布台1-2-4 麻布台ヒルズ ガーデンプラザC 1階
営業時間 11時~19時 19時~20時はアポイント制
定休日 月曜日(祝日の場合は営業)
お問い合わせ/カルティエ カスタマー サービスセンター
フリーダイヤル0120-1904-54
※価格はすべて2024年4月20日時点のものとなります。撮影/武蔵俊介