〔特集〕心安らかに、精一杯生きるために知りたい 死んだらどうなる? 誰にとっても限りある命。人は死んだらどうなるのか? 古今東西、永遠のテーマをノンフィクション作家・工藤美代子さんが聞き手となり、日本心霊科学協会理事の小児科医・鶴田光敏さんに率直に尋ねる対談は必読。また、研究や体験を通じて死後の世界観を確立されている方々にもお話を聞き、多面的に掘り下げました。死後の世界に思いを馳せることで、“よりよい死を迎えるために、よりよく生きる”一助になりますように──。
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誰もが知りたい、死後の世界[後編]
【対談】工藤美代子さん(作家)× 鶴田光敏さん(医師)
工藤美代子(くどう みよこ)1950年東京都生まれ。ノンフィクション作家。1991年『工藤写真館の昭和』で講談社ノンフィクション賞を受賞。『怖い顔の話』ほか、日常的にお化けに出会う体験をもとに見えない世界を描いた作品も多い。
鶴田光敏(つるた みつとし)1954年愛知県生まれ。小児科・アレルギー科専門医。つるた医院院長。漢方薬にも造詣が深く東西両医学で診療を行う。もう一つの使命は魂の師・中川昌蔵さんの教えを広め、残すこと。著書に『幸福への波動』など。
生前から死後の世界を信じ、認識していけば彷徨わない
工藤さん(以下K) 生き返られた中川先生には、死後の世界の記憶が戻っていたそうですね。私たちは死んだら、いったいどこへ行くのでしょう?
鶴田さん(以下T) 諸説いろいろあるのですが、中川先生がおっしゃるには、この世を三次元世界とすると、普通の人は死んだらまず皆、四次元世界に行くのだそうです。そこで生前の行いを見せられて反省しつつ、さらに一つ上の天上界(五次元世界)に行けるよう波動を上げる学習をします。“極楽” “天国”ともいわれる天上界では病気もなく、食べることも不要、自由に楽しく遊んで暮らすことができ、さらに上の神界には諸天善神がいらっしゃる。中川先生も前世では神界から降りていき、地獄界の魂を引き上げるお役目をされていたのだそうです。立場上、地獄を含めた死後の世界をすべて見学していらしたということで、あの世についてそれは詳しくお話しくださいました。
K だから具体的なんですね。ところで、死の瞬間というのはどのようなものなのでしょうか。
T 肉体の中には幽体という、自分の肉体とそっくり同じものが収まっているといわれています。“幽体離脱”の幽体ですね。鍼灸では経絡に鍼を打ったりお灸をしますが、目に見えない経絡は同じく目視できない幽体の血管のようなもの。亡くなるときは幽体が肉体の足の方からだんだん上がってきて頭の辺りまで来たら、すっと抜け出すのだそうです。
K 死を迎えたのち、どのようにして四次元世界へ向かうのでしょう。
T 亡くなるとドームのようなところを高速移動して、四次元へ向かう方が多いと中川先生からお聞きしました。見える景色は十人十色。ドーム以外にもお花畑あり、三途の川ありと人によるのだとか。目の前に自分の肉体が横たわり、家族や友人たちに自分の声が伝わらないなら「自分は死んだのか?」と疑問に思うことが大事。死の自覚がある人の元には上からのお迎えが来るのですが、生きていたときと同じ姿のままなので、死んだらすべてなくなると思っている人は自分の死を理解できません。その結果、浮浪霊になり長い間彷徨うことも多いのだそうです。
K 死後の世界の存在を生前から認識しておくことが大切なんですね。確かに、来世を信じられるほうが今の人生に希望が持てる気がします。
T そうですね。中川先生からのご教示で、臨終を告げられた方の耳もとで「肉体は亡くなりましたが、魂は天上界へ上がります。お迎えが来たら、安心してついていってください」とお話ししているのですが、そうすると皆さんの表情が本当に穏やかになる。私の祖母を見送ったときは開いていた口も自然に閉じて、シミまで薄くなったので驚きました。
写真/©MASAMI GOTO/SEBUN PHOTO/amanaimages
魂の波動の高低によって、死後、行く場所が決まる
K 70歳を過ぎた辺りからでしょうか。私、実は死ぬことがさほど怖くなくなってきたんです。
T 年齢を重ねるのもいいことですよね。生への執着が解消されていきますから。私は死後の世界を確信することにより、抱いていた死の恐怖も消えて安心の境地にいたりました。実際、精一杯生きたならば死ぬことを恐れる必要はありません。死は蛹から蝶になり、きれいな羽で大空を飛び回るようなもの。次の新しい世界への出発点なのです。
K 私が死を恐れなくなった理由の一つには、先に亡くなった人たちに会いたいという気持ちがあるんですね。私の母はそれはもうわがままなバアさんでしたが(苦笑)、あの世でちゃんと真面目にやっているのか気になって。すごく会いたいんです。
T 再会の楽しみはありますよね。
「現世の生き方次第で死後、行く場所が変わります」── 鶴田さん
K あの人たちに会えるのなら死後の世界も悪くないなと思えますが、望めば必ず会えるものでしょうか?
T 魂の波動次第なんですよね。極端に違うと、死後行く場所が同じとは限らないのです。魂の波動が高いほど愛と調和に溢れ、上の世界に行けますが、いつも怒っていたり、人の悪口ばかりいっていた人は波動が低く魂が汚れている。天上界へ行くには、反省と感謝を重ねてしばし四次元で修行を積む必要があります。
K そしたら、母は下のほうにいる確率が高い気がします(苦笑)。私も地獄には行きたくないので、地獄行きを避け、母の魂を引き上げるには私が徳を積まなければいけませんよね。波動を高めるため、生きている間にできることはありますか?
現世から魂磨きをして死後の世界でも幸せになる
T まず、中川先生提唱の“幸福のソフト”をご自分の魂にすり込むことをおすすめします。今日一日、親切にしようと想う。今日一日、明るく朗らかにしようと想う。今日一日、感謝をしようと想う。今日一日、謙虚にしようと想う。私はここに、今日一日、温厚にしようと想う、の一条を足してみました。
中川昌蔵さん考案の言霊。「毎日5分間見て右脳にインプットされると、波動が自動的に高くなります」と鶴田さん。
K 頭で考えているうちは、波動を高めることにはならないのですね。
T その通りです。また、私たちは大きな自然界の中の小さな歯車であると同時に、ほかのすべての歯車と連動して役割を果たすべきという“大自然の法則”を理解し、尊重しなければなりません。自分さえよければいいという発想と行動は、明らかに魂の波動を下げてしまいます。そして、いつ生まれいつ死ぬのかも自分ではわからないように、私たちの命は神様から与えていただいた“分け御霊”。日々感謝し、寿命が来る日まで生ききることが大切です。
「あの世で後悔しないよう、今を一所懸命生きます」── 工藤さん
K 日本では子どもたちの自殺率が高いですよね。鶴田先生のお話をお聞きしながら、今は辛くても一所懸命生ききれば、死後必ずいい世界に行けるからねと、伝えてあげたい気持ちになりました。死後の世界を信じられることで、今を生き抜く一筋の光になるとよいのですが。
T 中川先生も、よりよき死後の世界へ行くためには、神様から与えられた命を勝手に粗末にしてはならないと常々話されていました。
K この2024年は能登半島地震や羽田空港の事故などでの幕開けとなり、今なお多くの方々が大変な状況に直面されています。いつ何が起こるかわからない世の中であり、自然環境であるからこそ、日頃から徳を積んでおきたいとしみじみ思いました。私、改心するのが遅すぎることはないですか?
T まだまだ間に合いますよ。私も、重ねてきたマイナスをできるだけ減らして死後の世界へ行きたいので、毎日欠かさず産土神様、氏神様へお参りしています。与えていただいた命に感謝して、自分にできるお役目を果たしていきたいと思います。
K 今日は鶴田先生のお話を伺い、ポジティブな気持ちで、死を通じて生を見つめることができました。私もあの世に行ったときに後悔しないよう、今を一所懸命生きます。
(次回へ続く。
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