藤野幸信さんが選ぶ「季節の贈り花」 今、この花を贈りたい! 「フルール トレモロ」オーナー 藤野幸信さんが“今贈りたい”おすすめの花をセレクト。その花を使った、新作ブーケ&アレンジメントをさまざまなバリエーションでお届けします。
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ビバーナム・スノーボールに、ピンクのバラとシャクヤクを合わせたブーケです。ボール状の花が並ぶと量感のあるブーケになります。バラは‘ローズメイ’、シャクヤクは‘ミルキーホワイト’を使用。ほかにケイトウ‘アスカセレクト カノン’、クレマチス‘スカーレット’を加え、繊細なスモークグラスとキイチゴ‘ベビーハンズ’でさらにみずみずしさを出しました。お世話になった方へ、感謝の気持ちを届ける贈り花です。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
みずみずしい緑色の花房は、初夏の爽やかさをストレートに伝える!
春〜初夏に出回る枝物で、頻繁に利用するのがビバーナム・スノーボールです。小ぶりのアジサイのようなボール状の花房をたくさんつけますが、アジサイの仲間ではなく、ビバーナム=ガマズミの仲間です。日本では庭木として利用されているオオデマリによく似ています。オオデマリは葉が楕円形で、スノーボールはカエデのように切れ込みのある形をしています。
ビバーナム・スノーボールの魅力は、なんといってもみずみずしく優しい緑色の花房。花としても素敵なのですが、これほどたっぷりとしたボリューム感のあるグリーン花材(葉ものなど)はなかなかなく、ブーケやアレンジをナチュラルに仕上げるための花材として貴重な存在です。2月中旬から出回り始めますが、盛りは4〜6月中旬まで。花房に大小があるので、合わせる花に適したサイズを選んで使っています。
花房のやわらかな若草色がみずみずしいビバーナム・スノーボール。切れ込みのある葉もかわいらしく贈り花に利用できます。
ハウスで年間を通して栽培できる花と違い、枝物は出回り時期が限られている分、季節感がストレートに伝わるのも大きな魅力です。この時期の贈り花にビバーナム・スノーボールを加えると、一気に爽やかな初夏の雰囲気になります。枝の長さを生かして1種だけを束ねて部屋に飾るのもおすすめです。お店でしっかり水あげをすれば花もちもよいので、短くしてフローラルフォームに挿したアレンジでも萎れる心配はありません。
花としてもグリーンとしてもほどよい存在感を発揮して活躍するビバーナム・スノーボール、ぜひ贈り花に利用してみてください。
ビバーナム・スノーボールを使ったブーケ&アレンジメント
ご自宅に飾る初夏らしい花をというオーダーをいただき、ビバーナム・スノーボールのみずみずしい若草色に、白のシャクヤク‘ラ テンドレス’、染めのアスチルベ‘アイブルー’を合わせたブーケを制作しました。ほかにニゲラ‘ミスジーキル’、クリスマスローズ‘オリエンタリス グリーン’、ライスフラワーも加え、緑×白×ブルーの色合わせでまとめました。スノーボールの切れ込みのある葉も生かしています。
ビバーナム・スノーボールの花房とシャクヤク‘峰の雪’の蕾。ボール状の花を合わせたブーケに、ちょうどこの時期に出回るヒメリョウブの軽快な白い穂を加えて動きをつけてみました。ほかにカラー‘ピカソ’、クレマチス‘篭口’、レースフラワー‘ハッピーレディ’、ブッドレア‘シルバーアニバーサリー’などを使用。
ビバーナム・スノーボールとヒメリョウブの花合わせをもう1点ご紹介します。マムの‘オペラパール’と‘ゼンブラライム’、クレマチス‘篭口’、染めのアスチルベ‘ラベンダー’を合わせたアレンジです。切り花ではヒメリョウブで出回りますが、庭木ではコバノズイナと呼ばれます。花期は5〜6月でちょうどこの時期の季節感がよく伝わる枝物です。