〔特集〕「京都」美味案内(2)気鋭の和食店で旬の味を楽しむ 才能ある料理人や舌の肥えたお客様が集う京都で研鑽を積み、満を持して開店。培った知識や技術に、自身の感性を加味した料理とともに長く愛される店を目指し、日々奮闘する注目の7軒へとご案内します。
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野趣と洗練の融合を優美な隠れ家で
徳ハ本也(鞍馬口)
京都の名水「染井の水」でひくだしで仕立てる「とり貝の煮物椀」。蓬豆腐とコシアブラを添え、味はとり貝が持つうまみと塩気だけ。
上御霊神社に程近い閑静な住宅地に数寄屋の一軒家を新築し、中国古典の「大学」の一節を屋号とする日本料理店をオープンした松本進也さん。
京都の名店「和久傳」の高台寺店や室町店で長年料理長を務め、「修業先で培った繊細さと野趣の融合をいかに自分らしくどう表現し、お客様に喜んでもらうか。徳を積み、日々励むことを大切にしたい気持ちを店の名に込めました」と語ります。
ヒバやチークなどの無垢の素材と柔らかな照明で落ち着いた色調に整えられた店内。建物の施工設計は数寄屋建築の匠「三角屋」。
食べ比べて選んだ、丸々と太った郡上八幡・和良川の鮎。頭も骨も食べられるように30分かけて焼き上げ、最高の滋味を引き出す。
素材の持つ自然の趣を尊重する松本さんは何より水が大事とし、そのためにいろいろな湧き水でだしを試し、行き着いたのが京都御所に近い梨木神社の「染井の水」。
また、囲炉裏風の焼き台をカウンターの脇に設け、素材に寄り添う絶妙な火入れに挑戦しています。
冷やして供される「うにとうどの葛煮」。うには葛打ちして口当たりなめらかに。
ご飯をそら豆のさやに詰めて天ぷらにしてから取り出し、桑名産のはまぐりの天ぷらを添えた「そら豆の飯蒸し」。百合向付は樂 惺入作。
初夏の献立は、飯蒸しはそら豆のさやにご飯を詰めて豆の香りをまとわせ、お椀はだしに味をつけずにとり貝の塩気で香味豊かに。
皮はパリッと中はしっとりの鮎焼きは頭もいただける。器は北大路魯山人作。
開業準備中に氷見漁港で漁や魚の扱いを学んだ縁で仕入れができるようになった、夏が旬の氷見まぐろのあぶり。
岐阜・郡上の清流で育った和良鮎は30分かけて炭火焼き、漁師が船上で活け締めにした鮮度抜群の富山・氷見の夏まぐろは藁で炙るなど、ライブ感たっぷりに供されます。
庭を愛でながらゆっくりと過ごせるテーブル個室。定員6名。
徳ハ本也(とくはもとなり)住所:京都市上京区新御霊口町287-5
TEL:075(708)7425
営業時間:12時一斉スタート、18時~19時(最終入店。個室は19時スタート)
定休日:日曜
料金:昼のコース2万2000円 夜のコース2万7500円
※要予約
(次回に続く。
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