〔特集〕「京都」美味案内(2)気鋭の和食店で旬の味を楽しむ 才能ある料理人や舌の肥えたお客様が集う京都で研鑽を積み、満を持して開店。培った知識や技術に、自身の感性を加味した料理とともに長く愛される店を目指し、日々奮闘する注目の7軒へとご案内します。
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器好きのご主人がライブ感とともにおもてなし
水の(祇園)
白ご飯につくおかずとちりめん山椒、漬け物の盛り合わせ。ご飯は季節野菜の炊き込みご飯やチャーハンになることも。
骨董商が軒を連ねる新門前通に2023年8月にオープンして以来、機転のよさと瑞々しい感性で作る料理が評判の割烹「水の」。
カウンター越しに見える炭床で焼き上げる鰻の蒲焼きはご飯のお供。
「初めはクラシックな料理を主軸にしていたのですが、最近は遊び心やライブ感も取り入れるようになりました。料理がすべてではないという師匠の言葉を胸に、今はお客様に喜んでもらえることを一番に考えるようにしています」と話すご主人の水野隆弘さん。
京料理界に新風を吹き込む「祇園さゝ木」に17年間勤め、系列店「祇園楽味」の料理長を任された水野隆弘さん。
好きが高じて手に入れた器も自分の思いに走りすぎず、現代作家のものから古い器までをさりげなく料理と呼応させています。
菖蒲刀をグラスにのせて出す「新玉ねぎのブランマンジェ」。うすい豆ソースが器に映える。
「鱒の塩焼き」には炭火の薫香に合わせて燻製黄身酢をかけ、おかひじきが添えられる。高台の器は骨董屋で見つけた李朝の白磁。
例えば、始まりの一品の新玉ねぎのブランマンジェには青々としたうすい豆のソースを合わせ、アンティークのクープグラスで初夏の趣を表現。
最も遊べるという焼き物は、ますと和製マヨネーズ風の燻製黄身酢と組み合わせ、李朝の祭器に盛って今までにない味と食べ方でカウンターを沸かせます。
正統な仕事で作る「油目の煮物椀」。一年を通じて椀だねは旬の魚と決め、素材は重ねず、あしらいで香りや彩りを添える。
一方、お椀は直前に削ったかつお節でだしをひき、椀だねの油目が際立つ端正で正統な日本料理の仕立てに。一品一品に躍動感があって美しく、締めのご飯までおいしさの余韻が続きます。
純和風を少し外した軽やかな趣のカウンター席。屋号は親交のある辻村史朗氏が揮毫。
水の住所:京都市東山区新門前通花見小路東入ル二丁目中之町245-2
TEL:075(746)5352
営業時間:18時一斉スタート
定休日:日曜、第2・第4月曜
料金:おまかせ2万5000円
※要予約
(次回に続く。
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