〔特集〕「京都」美味案内(2)気鋭の和食店で旬の味を楽しむ 才能ある料理人や舌の肥えたお客様が集う京都で研鑽を積み、満を持して開店。培った知識や技術に、自身の感性を加味した料理とともに長く愛される店を目指し、日々奮闘する注目の7軒へとご案内します。
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旬食材の色彩、香りを瑞々しく表現
料 かわしま(御所南)
いかの細造りを軽くおひたしにしたクレソンと合わせた新味を感じる造り。すだち果汁の酸味とからすみの塩気がアクセントに。
人で賑わう烏丸御池の近くにひっそりと看板を出し、エントランスを入ると店内には巨大な楠のカウンターが鎮座。店主の河島 亮さんはそのカウンターの一部を使って調理の様子を披露し、しばし食べ手はライブを楽しみながら料理のでき上がりを待つこととなります。
「私の料理は京料理というより面白くて楽しいと感じてもらえる日本料理。食材そのものが持っている色の美しさや季節感に勝るものはないのでそれを生かし、形も質感もシンプルな器で引き立てます」。
20代で海外に渡り、料理の経験を積んだ後、奈良の料理店や京都「宮川町 水簾」で20年修業を重ね、2022年9月に店をオープンした店主の河島 亮さん。
きゅうりの瑞々しい食感で煮あなごのうまみと香ばしさを引き立てる、おしのぎの「穴子棒寿司」。
いかのお造りはクレソンとあえて色鮮やかなからすみをふりかけ、あなご寿司はきゅうりの食感をアクセントにして「穴きゅう」のようにアレンジ。
「琵琶湖産鮎の天ぷら」を豆のすり流しと野菜でサラダ風の仕立てに。鮎はじっくり揚げているので頭もいただける。
旬の若鮎は薄ごろもの天ぷらにして豆のすり流しと組み合わせ、瑞々しい緑と躍動感のある盛りつけで目も楽しませてくれます。
叩きオクラのすまし汁に花穂じそがかかる「鱧と翡翠茄子のお椀」。
なかでも河島さんが最もできたてに注力する煮物椀は、食べ手の目の前で完成させ、たおやかなだしの香りと浮遊するオクラの美しさで鱧を引き立てます。
一品一品に一歩先をいく和食への挑戦が垣間見られ、折々の食材に向き合う実直さと料理への情熱に心打たれます。
暖簾はなく、小さな看板のみ。屋号の「料」に“亮の料理”を重ねる。
料 かわしま住所:京都市中京区車屋町通御池上ル塗師屋町333の2
TEL:075(888)8613
営業時間:18時一斉スタート
定休日:日曜、月曜
料金:おまかせ1万9800円
※要予約
(次回に続く。
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