〔特集〕「京都」美味案内(2)気鋭の和食店で旬の味を楽しむ 才能ある料理人や舌の肥えたお客様が集う京都で研鑽を積み、満を持して開店。培った知識や技術に、自身の感性を加味した料理とともに長く愛される店を目指し、日々奮闘する注目の7軒へとご案内します。
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京町家の風情、雅な演出に心躍らせて
よこい(烏丸五条)
煮えばなが供されるリゾットのような「平貝、半生バチコ、うすい豆の飯蒸し」。
築100年の町家に出合い、思いを巡らせながら2023年12月に店をオープンした横井裕史さん。
「いかにリラックスして料理を楽しんでもらうか」をテーマに、靴を脱いで入る店内には緩やかなカーブを描いたカウンターを設け、そこはかとなく漂う京の風情とスタッフの笑顔で和ませてくれます。
「和久傳」や「富小路やま岸」の系列店、「木山」などで培った経験と縁を紡ぎながらカウンターに立つ横井裕史さん。スタッフと連携しながら肩肘張らない店を目指している。
料理は昼夜とも走りすぎず、名残すぎず、この時季一番おいしい魚と野菜で作る12〜13品からなる盛りだくさんのコース。
目にも鮮やかな「毛がにとマンゴーともずくのジュレ醬油」。
釜炒り緑茶で口の中をリセットしてから味わう「フカヒレとすっぽん玉じめ」。1週間かけて仕込んだフカヒレは焼いて香ばしさをプラス。料理やお茶は市比賣神社の湧き水を使用。
先付は毛がにと相性がよい濃厚で後味のよい甘みのマンゴー、飯蒸しは貝の淡い味にばちこの塩味を合わせるなど、素材を邪魔せず、初夏ならではの繊細な味で食欲を誘います。
卵黄であえた中とろ、うに、いかを赤酢の寿司飯にのせて手巻きに。
さらにコース半ばには修業先の「やま岸」から継承するお寿司を目の前で巻いて手渡しし、食べ手の心を摑みます。
黒豆きな粉の串団子とお抹茶。きな粉は季節で変わり、甘さ控えめのあんは大粒の丹波大納言。
「料理も空間もおもてなしも今はまだ8割ぐらいの完成度です。お客様に育てていただきながらご来店のたびに成長を感じてもらえる店にしていきたい」。10年、20年先を見据え、高い志を持って歩みを続けています。
厨房が目の前に広がる席と、庭が間近に見える席からなる変形のカウンター。
よこい住所:京都市下京区万寿寺中之町88
TEL:050-1808-9510
営業時間:12時一斉スタート(月曜・火曜・土曜・日曜営業)、18時~20時(最終入店)
定休日:木曜
料金:昼1万6500円、2万7500円 夜2万7500円
※要予約
(次回に続く。
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