〔特集〕「京都」美味案内(2)気鋭の和食店で旬の味を楽しむ 才能ある料理人や舌の肥えたお客様が集う京都で研鑽を積み、満を持して開店。培った知識や技術に、自身の感性を加味した料理とともに長く愛される店を目指し、日々奮闘する注目の7軒へとご案内します。
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定番の一品料理に独自のセンスが光る
わか杦(金閣寺)
注文を受けてから煮る「太刀魚の煮付け」。濃厚すぎず上品すぎない絶妙な味つけ。
京都の名店「和久傳」で延べ14年間経験を積んだ若杦葉陽(のぶはる)さんが、2022年に満を持してオープンした「わか杦(すぎ)」。
奥様と2人で店を切り盛りする若杦葉陽さん。料亭、割烹、仕出し専門店で経験を積み、変化に富んだ味を提供する。
お品書きは毎日変わり、多彩なおばんざいや酒肴、季節の一品が並ぶ。量の加減もしてくれ、お酒も半合から対応。
お造り、焼き物、油物、温物に加えて、酒肴としても人気のポテトサラダやにしんなすなどの40品ほどを揃え、足繁く通ってくる地元の人たちのリクエストに細やかに応えています。
揚げだしにしたなすの表面を出す直前に焼いてうまみを凝縮する「賀茂茄子とうに」。なすも樋口農園のもの。
脂がのる9月まで封印している鱧に代わり、夏場に出す「伝助穴子の焼き霜」。
「私自身が好きなものを好きな量食べたいタイプなので一品料理が中心です。コースと違ってどんな注文が入るかわからず毎日ドキドキしますが、刺激と達成感があって楽しいんです」と語る若杦さん。
なじみのある料理も食材を生かすひと手間ひと工夫で新味を生み、目指すのは「食べると違うと思ってもらえる味」。
5種類の青豆をあさりだしで引き立てる優しい味わいのおひたし「豆いろいろ」
うにを合わせた黄身醬油がかかる和風の「ローストビーフ」。
定番のおひたしは京都の伝統野菜を守り育てる鷹峯の「樋口農園」の豆をあさりのだしであっさりと仕上げ、ローストビーフはうに醬油でまったりとした味わいに。
夏限定の「冷やし蓮根麺」はもちもち食感の麺と塩さばを白味噌ベースの豆腐汁でいただく人気の締め。
見た目も味わいも斬新な「煮鰻寿司」。
「冷やし蓮根麺」は冷汁を発想源に白味噌で京都らしさを生み、鰻寿司は蒲焼きではなくご飯になじむように煮鰻にするなど変幻自在です。
口の肥えた人が通うのも納得のバリエーションと心意気。気さくなご夫妻の対応で初めての人も肩肘張らず、好みを貫けます。
街中から車で20分ほどの立地にあり、昼はコースのみ、夜は旬の食材で作る一品料理を揃え、おまかせも対応。
わか杦住所:京都市北区衣笠街道町5
TEL:075(600)9256
営業時間:11時30分~13時、17時30分~21時(ともに入店)
定休日:月曜、不定休あり
料金:昼6000円、1万円 夜1人予算1万5000円 おまかせ1万5000円~
※昼は前日までに要予約
(次回に続く。
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