連載「郷土玩具の心意気」
6月 寂光院の紙つばめ〈愛知県・犬山〉
選・文=中村浩訳(日本郷土玩具の会会長)梅雨空を切り裂くようにつばめが空を舞います。
この季節は、南の国から毎年つばめがやって来て、空を飛びながら小さな昆虫をとらえ、ひなの餌にします。
愛知県犬山市にある寂光院という観音様の門前では、春の縁日に田畑の害虫を退治してくれるお守りとして、紙と経木で作ったつばめをお札と一緒に授けるようになりました。
田の畦に祀られたつばめは、風が吹くと経木でできた尾がくるくる回転し、口もとに取りつけたブリキの金具がキーキーと鳴き声を立て、害虫を驚かします。
一時は途絶えていましたが、また蘇り、紙つばめは再び大空を羽ばたくようになりました。今は縁日だけでなく、普段も観音様で授けてくれます。
横約18センチ/継鹿尾(つがお)観音 寂光院
愛知県犬山市継鹿尾杉ノ段12
TEL:0568(61)0035
開院時間:8時~17時
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