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- きものにファンデーションがついたらどうする? 対処法を阿川佐和子さんにプロが伝授
何気ない仕草でふと顎や頬が衿もとに触れるなど……気づかないうちに付着しているファンデーションの汚れ。外出から戻ってきものを仕舞う際にハッとした経験が、どなたにもあるのではないでしょうか。
そこで、前回シミの応急処置を教わった「きもの工房 扇屋」の家田貴之さんに、ファンデーションの衿汚れについてもお伺いしました。ファンデーションは油性のため、市販のベンジンで手軽にケアすることができるそうです。
「色素や汚れはきれいな布へ、水分は乾いたところへと移動する性質があります。これを利用して汚れを別の布に移しとることがシミや汚れ落としの基本。ファンデーションの汚れも、ベンジンで汚れを浮きあがらせ、きれいな布に移しとります」と家田さん。
1)
汚れを落としたい部分の下に、まっさらな晒し布をシワが寄らないように敷きます。テーブルに体を押し付けて掛け衿の下部を固定し、サランラップの芯棒などを利用して、汚れた掛け衿の生地が平らになるように引っ張ります。
2)
容器にベンジンを入れ、拭き取り用に折り畳んだ晒しで蓋をして上下させ、布にベンジを染み込ませます。まずは掛け衿全体を濡らすように拭き取ります。
3)
続いて、専用ブラシにベンジンを染み込ませます。手首に力が入らないように、肘を高く張って、ブラシを掛け衿の表面に軽くつけ、布目に沿って上下に3往復。この動きを3〜4回繰り返し、晒しで拭き取ります。
4)
ベンジンを置いているテーブルよりも上方でドライヤーのスイッチを入れ、必ず冷風で乾かし、ベンジンを飛ばします。濡れた状態の絹はとてもデリケートなため、乾く前に揉んだり擦ったりするのは厳禁です。
阿川佐和子(あがわ・さわこ)©Akinori Ito
作家・エッセイスト 1953年東京生まれ。大学卒業後、テレビ番組でのリポーターを機に、報道番組でのキャスターや司会を務める。映画やドラマに出演するなど女優としても活躍。『週刊文春』(文藝春秋)では対談「阿川佐和子のこの人に会いたい」を、『婦人公論』(中央公論新社)、『波』(新潮社)他では多くのエッセイを連載。テレビ朝日系列『ビートたけしのTVタックル』にレギュラー出演中。『話す力 心をつかむ44のヒント』(文春新書)他、著書多数。
撮影/西山 航(本誌) 構成・取材/樺澤貴子