6月の花「カラー」
長野県松本市を中心に活動する花農家さんの栽培組織「フラワースピリット」から届いた純白のカラー‘ホワイトホース’をメインに季節の花を集めたブーケ。スカビオサ‘コットンキャンディスクープ’、オキシペタルム‘マーブルホワイト’、マリーゴールド‘ホワイトスワン’を束ね、ローズゼラニウムやテマリシモツケ‘ルテウス’、キイチゴ‘ベビーハンズ’をたっぷり加えて爽やかに仕上げました。
藤野幸信/Yukinobu Fujino広島駅からほど近い段原の骨董通りにある「フルール トレモロ」オーナー。広島大学大学院理学研究科生物科学専攻を終了後、花の道に進んだ異色の経歴。著書『大切な人への贈り花』も好評。 https://www.fleurs-tremolo.com @fleurstremolo
スタイリッシュという形容詞がぴったりのカラーは時代を超えて人気
ストレートな茎の先端にくるっと巻いた大きな苞(ほう)をつけるカラーは、お馴染みの人気花ですが、いつ見てもその個性的な花姿には「なんとスタイリッシュな!」と感嘆させられます。スタイリッシュとは、洗練されて粋なこと。かっこいいという意味の“クール”という形容もこの花によく似合うと思います。
白いカラーを茎の長さを生かしてシンプルに束ねたウエディングブーケは、いまでもスレンダーなデザインのドレスをお召しになる方からオーダーをいただく人気ぶりです。
カラーには多くの白花品種があります。写真は‘スノーストーム’で、純白が非常に美しく、苞が緩く波打つさまに気品が感じられます。
カラーは南アフリカ原産の球根植物で、その性質から畑地性と湿地性の2種類に分けられます。切り花として真夏と真冬を除く時期に出回るのは畑地性が多く、白のほか、ピンクや黄色、紫、黒に近い紫まで花色が豊富に揃っています。湿地性は10月〜翌年の5月に出回り、白や緑色が中心。品種を選ばなければ、ほぼ一年中贈り花に利用できるのもカラーの大きな魅力でしょう。
最近では苞が小型の種類も出回り、さらに使い勝手がよくなっています。 どの花色を選んでも苞が大きいためよく目立つのもカラーの魅力で、ブーケでもアレンジでも少ない本数で主役花として存在感を示します。また、脇役に使っても抜群のアクセント効果があります。水あげがよく、花もちがよいので、安心して贈り花に利用できます。カラーが好きという方も多く、カラー指定でオーダーをいただくこともよくあります。縦に長いスマートな花姿、表情豊かな苞の形などを生かし、動きのある贈り花に仕上げるように心がけています。涼しさがうれしいこの季節、爽やかな雰囲気を感じさせるカラーの贈り花も喜ばれると思います。
カラーを使ったブーケ&アレンジメント
お母様の古希(70歳)のお祝いに、お母様がお好きなカラーをメインにしたブーケを制作しました。白は‘ホワイトホース’、濃い紫に淡いクリーム色のバイカラーは‘ピカソ’。古希のテーマカラーが紫なので‘ピカソ’はぜひ加えようと考えました。ほかにリシアンサス‘NFシュガーホワイト’、ルリタマアザミ‘ベッチーズブルー’、ユリ‘グリーンリリアルプ’、セダム‘エレガンス’を束ね、テマリシモツケ‘ルテウス’とキイチゴ‘ベビーハンズ’をたっぷりあしらいました。
淡いクリーム色の内側に濃い紫色が入り、ぼかしもとてもきれい。絵に描いたような美しさで、カラーの中でもとくに人気の高い品種です。時期によって、2色の入り方が異なり、写真は淡いクリームの面積が多い状態。
白いカラーの代表品種の一つ‘サッポロ’とクレマチス‘アルバ’を束ねてウエディングブーケに。苞の白がよく目立ち、清楚で気品のある雰囲気に。‘サッポロ’は北海道の「北石狩農協当別」で生産されたもの。涼しい気候を好むカラーは、夏場は北海道で多く生産されます。