マルタ・アルゲリッチさん(ピアニスト)
「セイジとは、いつも楽しい音楽の会話があった」
2017年5月、ゲスト出演した水戸芸術館で行われた水戸室内管弦楽団第99回定期演奏会にて。小澤征爾さんの指揮でベートーヴェンのピアノ協奏曲第1番を演奏し、喝采を浴びた。写真/アフロ
長年小澤征爾さんとの共演は、いつも楽しい音楽の会話がありました。特に小澤さんが大事にしておられた水戸室内管弦楽団とのとても充実した、またとてもインティメートな関わりは強い印象を持っています。それはいつも皆で音楽をつくっていく喜びに溢れたものでした。
特に小澤さんと水戸の取り組みは、私自身初めての音楽祭を大分県で開催をしていますが、大変刺激にもなり日本の中でも芸術の本質を大事にされている稀有な存在でもあると思いました。
また指揮者は多くの音楽家に直接影響をもたらしていく存在でもあり、小澤さんの残された育成への功績もその音楽家たちによって、長く受け継がれていくのだと思います。
私たちの記憶に長く残る魅力的な音楽家であり、同時に実に人間的な愛情に満ちた方でした。
心からご冥福を祈りたいと思います。
2024年3月30日
公益財団法人アルゲリッチ芸術振興財団
総裁 マルタ・アルゲリッチ
マルタ・アルゲリッチさんアルゼンチン出身。8歳でデビューし、世界を舞台に活躍。レパートリーも幅広く、室内楽にも熱心に取り組む。日本との縁も深く、2024年5月11日より大分県にて、自らが総監督を務める「第24回別府アルゲリッチ音楽祭」が開催されている。