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立地が一番大事!災害リスクの大きい土地の見分け方

2024.06.04

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〔特集〕「防災住宅」最前線 わが国は世界に類を見ない地震大国です。地震の活動期に入ったのでは?といわれる昨今は、震度5弱以上の地震が急激に増加しています。また、地球温暖化の影響とも目される異常気象により、「想定外」や「これまで経験したことがない」災害が当たり前になりつつあります。日本はとどめなく災害多発国への道を突き進んでいるように思います。ひとたび経験したことのない災害が発生し、広域全体が壊滅的打撃を受ければ、誰も助けてはくれない状況に陥るのは必至。わが家の安心・安全は自分で作る、家族の命は自分で守る、自助の精神とひとりひとりの強い覚悟が今求められています。命を守るために──私たちが今、住まいでできる防災の形を、最新の知見、情報を踏まえながら紐解いていきたいと思います。前回の記事はこちら>>

特集「防災住宅」最前線の記事一覧はこちらから>>

【敷地】立地が一番大事。見ればわかる、調べればもっとわかる災害の根本リスク

便利なサイトと自分の足をフル活用して情報収集を

防災において、建築と同じくらい重要なのが「敷地」です。そして、「災害リスクの大きい土地」を見分けるのは、決して難しいことではありません。川や海の近く、低地、急斜面……そういった場所でのリスクが大きいことは、少し想像すればわかります。

しかし、実際には、そうした場所に家を建てたことで災害に巻き込まれるケースが後を絶ちません。

大水害につながる天井川


周辺より高い位置にあるため溢れた水は川に戻らず、被害が長引く。

液状化のリスクが大きい埋立地
水を多く含んだ埋立地は地震の際、液状化する危険がある。

扇状地では土石流に注意
集中豪雨の影響で山崩れがあると、土石流の被害を受けやすい。

「津波が心配な海辺や、土砂崩れの危険がある崖地など、よくこんな場所に建築の許可が出たなぁと思うことは少なくありません」。

そう話すのは、ユイファ ジャポン(国際女性建築家会議 日本支部)相談役の正宗量子さん。同会ではこれまで、東日本大震災や熊本地震の後、被災地の自治体と協力して住宅相談会を実施。その経験も活かして制作した冊子『自然災害に備えて 住まいづくりの勘どころ』には、「敷地」の情報収集方法も詳しく載っています。

情報収集でまず行いたいのが、ハザード(防災)マップの確認。各自治体の窓口やサイト、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」から入手でき、地域ごとの災害リスクなど防災に有益な情報が得られます。

電柱の「海抜表示シート」。国土交通省が設置を推進している。写真/Mochio〈PIXTA〉

もちろん、現地での情報収集も必須。同会の森田美紀会長は、「たとえば、電柱の海抜や津波到達点の表示を見れば、水害のリスクがわかります。また、できれば雨の日にも歩いてみて、冠水しないかも確認したいところ。その土地に根差した不動産会社で、どんな土地なのか情報収集するのもいいですね」と話します。

さらに敷地を知るうえで助けになるのが、「今昔マップ」というサイトで古い地図を見たり、土地の地名について調べること。地図からは、液状化のリスクの高い地域が江戸時代までは海だったことなどがわかります。また地名の多くは、その土地の特性を表しているので、「さんずい」がついた漢字が使われている場合は水害に要注意。地名が変わっている場合もありますが、各自治体のサイトで昔の名前を調べることが可能です。

家の新築を考えている人は、地盤が固く、災害リスクの少ない土地を選ぶとよいでしょう。そして、ここはと思える土地が見つかったら、地盤について調べましょう。地盤がよければ安心できますし、多少弱くても、地盤の改良や、地盤に合った基礎を選ぶことで、その土地を諦めなくてよい場合もあります。

現在の家に暮らし続けたいと考えている人の中には、「敷地について知るのが怖い」という人もいるかもしれません。でも、どんなリスクがあるかがわかれば、被害を抑えるためにできることは必ずあります。自分や家族の命を守るため、ぜひ調べてみてください。

<自ら出向いて敷地を確認しよう>
チェックポイント

天井川・河川の蛇行~河川の氾濫~
海辺 ~高波・津波~
埋立地 ~液状化~
低地 ~洪水・浸水~
扇状地・急斜面~土砂崩れ~

河川流域のリスクを知る

長野県千曲川氾濫(2019年台風19号)
川底が周辺の土地より高い「天井川」や蛇行している川、川の合流地点などがある地域は水害への警戒が必要。写真の災害では台風が引き金となり、阿武隈川、多摩川、千曲川など7水系の河川が氾濫し、甚大な被害が発生した。

扇状地・急斜面のリスクを知る

広島土砂災害(2014年8月豪雨)
「扇状地」とは川が山地から平地へ流れ出る所に砂礫が堆積した扇形の地形。急斜面や埋立地とともに洪水や土砂崩れのリスクが大きい。写真の災害では、記録的豪雨により大規模な土石流が発生。扇状地の家々を押し流した。

災害大国日本の防災力が結実「重ねるハザードマップ」の見方

海辺なら津波、火山の近くなら噴火など、同じ日本でも地域によりリスクはさまざまですが、複数の災害リスクがある場所も少なくありません。それらを容易に一覧できるのが、国土交通省の「ハザードマップポータルサイト」の「重ねるハザードマップ」です。

洪水・内水(ないすい=内水氾濫。豪雨などにより、下水道や排水路が雨水を処理しきれなくなり、道路などが水浸しになる現象)、土砂災害、高潮、津波のリスク情報、道路防災情報などを地図や写真に自由に重ねて表示できるというもの。防災大国日本が誇る、画期的なツールです。

洪水・内水と土砂災害を重ねる
写真(1961~64年)を重ねる
住所を入力すると、その場所の地図と災害リスクなどの情報が表示される。「すべての情報から選択」をクリックして、指定緊急避難場所や過去の代表的な災害事例などを選び、地図に重ねることも可能。1945年以降の航空写真数枚は土地の変遷を教えてくれる。

「ハザードマップポータルサイト」はこちら>>
サイト内の「わがまちハザードマップ」では各自治体の公開状況を確認できます。 

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年06月号

家庭画報 2024年06月号

撮影/本誌・西山航 取材・文/清水千佳子 イラスト/ワークスプレス

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