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在宅避難やシェルター、防災のプロに聞く最先端の防災設備

2024.06.05

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〔特集〕「防災住宅」最前線 わが国は世界に類を見ない地震大国です。地震の活動期に入ったのでは?といわれる昨今は、震度5弱以上の地震が急激に増加しています。また、地球温暖化の影響とも目される異常気象により、「想定外」や「これまで経験したことがない」災害が当たり前になりつつあります。日本はとどめなく災害多発国への道を突き進んでいるように思います。ひとたび経験したことのない災害が発生し、広域全体が壊滅的打撃を受ければ、誰も助けてはくれない状況に陥るのは必至。わが家の安心・安全は自分で作る、家族の命は自分で守る、自助の精神とひとりひとりの強い覚悟が今求められています。命を守るために──私たちが今、住まいでできる防災の形を、最新の知見、情報を踏まえながら紐解いていきたいと思います。前回の記事はこちら>>

特集「防災住宅」最前線の記事一覧はこちらから>>

【設備】防災のプロに聞く
最先端の防災設備はこうなっている

住宅設備の進化は目覚ましく、日々研究が進められています。防災という観点から、改めて最先端の設備を知るために、防災アナウンサーの奥村奈津美さんと建築家集団のユイファジャポンの方に話を聞きました。

最新設備で日常生活の防災力をアップ

在宅避難をするために重要なのは、自宅を安全な空間にしておくことと、ライフラインの確保です。防災というと、非常時の備えと思いがちですが、日常生活で普段使っているものを非常時にも活用する「フェーズフリー」で機能するものが理想的です。また、自宅に潜む危険を建築家の診断やハザードマップなどできちんと把握し、住宅の構造や予算などに合わせた対策をとることが必要です。

ぜひ、最新の防災設備に関する知識を身につけ、暮らしに合わせて活用してみましょう。日常を快適にするものが、非常時に命を守るものになるのです。

ライフラインの自給自足を

「太陽光パネル」

写真/レスコハウス

「阪神・淡路大震災では電気の復旧まで約1週間を要したそうです。蓄電池とセットで置くことで、停電時に電気を確保できます」(奥村)。「機器の耐用年数や太陽への向きなど、導入する前にきちんと検討しましょう」(ユイファジャポン)。

「太陽光発電システム」/レスコハウス(レスコ土地活用カンパニー)

お洒落に耐震力アップ
「耐力壁」

写真/旭トステム外装

壁の少ない住宅は地震に耐える力が弱く、倒壊の危険がある。「建築家に住宅の弱点の診断を依頼し、耐力壁などを効率よく導入すればバランスのとれた住宅になります」(ユイファジャポン)。「パンチくん」は、光と風を通す軽やかな壁が特徴。

「パンチくん」/旭トステム外装(旭トステム外装サービスデスク)

大容量の貯水タンクとして再評価
「自然冷媒ヒートポンプ給湯器(エコキュート)」

写真/百年住宅

外気を機械に取り込んでお湯を沸かし、生活用水として使用できる。「500L以上も貯水できるものもあり、非常用生活用水としても利用可能。十分に気をつけたいのが、地震の際の転倒。必ずコンクリート基礎への固定やL字金具での固定などが必要」(奥村)。

三菱「エコキュート SRT-W376」/百年住宅

ゲリラ豪雨時の逆流を阻止
「逆流防止弁」

写真/関西化工

「ゲリラ豪雨や台風などでは、自宅のトイレやお風呂に排水が逆流するなどの『都市型内水氾濫』の可能性があります。『逆流防止弁』は豪雨時の排水の逆流を抑えます。ほかにも、ポリ袋に水を入れて作る水囊も有効」(ユイファジャポン)。普段から設置しておくことがおすすめ。

「逆流防止弁」/関西化工

きれいな水を循環させる
「給水タンク」

写真/大丸鐵興

「『みずがめ君』は、非常時でも生活用水のみならず飲料水も確保できます」(奥村)。水道水を使用しながらタンク内の水を循環させ、2本設置で300L以上もの新鮮な水が常にタンクに貯められます。新築の場合は床下設置も可能。

非常時給水タンクシステム「みずがめ君」/大丸鐵興(大丸鐵興ステンレス事業部)

窓が防災の要
「防災ガラス」

写真/一条工務店

暴風や地震で窓ガラスが割れた場合、飛来物や強風が入り込んで屋根が飛ばされる恐れがある。窓ガラスの飛散防止は必須。防災ガラスは、室外と室内のガラスの間に特殊な樹脂の層を挟み込んでおり、万が一室外側のガラスが割れても室内側のガラスが割れず飛散を防止できる。

「防犯ツインLow-Eトリプル樹脂サッシ」/一条工務店

浮かんで逃げる救命艇
「津波シェルター」

写真/ポンド

津波の恐れがある際には、高台に避難することが肝要だが、間に合わない場合や逃げられない場合に活用できる。自力で移動することはできず、浮きながら沖に移動して救助を呼ぶ必要があるため、内部にGPSの設置が推奨される。床下に食料や水を備蓄するスペースも。

地震津波用避難シェルター「ライフアーマーNEO」/ポンド

家全体が無理ならせめて一部屋
「一部屋シェルター」

「木質耐震シェルター」/一条工務店

「耐震和空間」/ニッケン鋼業

「耐震補強工事や、敷地の変更が難しい場合におすすめ。一部屋を耐震化することで、建物が倒壊した際にも命を守ることができます。また、在宅避難の場所として利用することも可能」(ユイファジャポン)。内側から組み立ててわずか2日間で設置できるものも。

生き残る安全ポケット
「シェルターベッド」

写真/ニッケン鋼業

「就寝中の突然の地震や、要介護者の備えのために必要なのがこのシェルターベッド。ポケットに避難用の靴や携帯電話、懐中電灯などが入る収納スペースがあるものもあるそうです」(ユイファジャポン)。建物倒壊時のシェルター空間として活用することも可能。「防災フレーム」/ニッケン鋼業

「Jアラートが鳴ったら、どこへ逃げますか?」
今注目の核シェルター

日本人にとって「核シェルター」は非現実的な存在ですが、スイスとイスラエルでは人口あたりの核シェルター普及率はほぼ100パーセント、アメリカでは82パーセント。日本での普及率0.02パーセントとは天と地ほどの開きがあります。

「爆心地から20キロ圏内は地下に入らないかぎり、まず助かりません。でも、300キロ離れた場所にまで降り注ぐといわれる死の灰や黒い雨からは確実に身を守れます」。室内設置型核シェルター「最後の砦」/ワールドネットインターナショナル 撮影/本誌・西山 航

そんな日本で核シェルターの開発、製造、販売をすべて自社で手がけている会社があると聞き、静岡県焼津市へ。製造元の代表取締役、中嶋広樹さんは、「うちの核シェルターは580トンの重さに耐え、サリンやVXガスなどの化学兵器、細菌などの生物兵器、放射性物質、核兵器という4つの脅威に対応します」と胸を張ります。

核シェルター内で超高性能フィルターの説明をする中嶋さん。撮影/本誌・西山 航

シェルター内にテレビやエアコンを完備しているのは日本ならではだそう。いつの日か、諸外国のように「一家に一台核シェルター」の時代がくるのでしょうか?

(次回に続く。この特集の記事一覧はこちらから>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年06月号

家庭画報 2024年06月号

取材協力/奥村奈津美(防災アナウンサー) ユイファジャポン(国際女性建築家会議日本支部)

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