〔特集〕「防災住宅」最前線 わが国は世界に類を見ない地震大国です。地震の活動期に入ったのでは?といわれる昨今は、震度5弱以上の地震が急激に増加しています。また、地球温暖化の影響とも目される異常気象により、「想定外」や「これまで経験したことがない」災害が当たり前になりつつあります。日本はとどめなく災害多発国への道を突き進んでいるように思います。ひとたび経験したことのない災害が発生し、広域全体が壊滅的打撃を受ければ、誰も助けてはくれない状況に陥るのは必至。わが家の安心・安全は自分で作る、家族の命は自分で守る、自助の精神とひとりひとりの強い覚悟が今求められています。命を守るために──私たちが今、住まいでできる防災の形を、最新の知見、情報を踏まえながら紐解いていきたいと思います。
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どっちが安全?
住まいの防災対応クイズ
災害時、家族の命と住まいを守るために知っておきたいことをクイズ形式でまとめました。どちらが正解か、まずは自分で考えてみることが安全への第一歩です。
Q1:水栓レバーは「上げ吐水」VS「下げ吐水」
物が落ちてきたときのことを考えてみてください。
上げ吐水 写真/マハロ〈PIXTA〉
下げ吐水
A1:上げ吐水。
阪神・淡路大震災で、落下物がレバーに当たって水が流れたまま放置され、周囲が水浸しになる事態が多発。2000年には上げ吐水が統一規格に。
Q2:照明は「シーリングライト」VS「ペンダントライト」
地震の揺れの影響を受けやすいのはどちらでしょうか。
シーリングライト
ペンダントライト
A2:防災の観点からは、天井に直接設置するシーリングライトに軍配。ペンダントライトは地震の揺れで落下したり、天井や壁に当たって破損したりする危険性がある。
Q3:収納扉は「引き戸」VS「開き戸」
ノーヒント。
引き戸
開き戸
A3:引き戸。能登半島地震では、引き戸収納の家具内の食器がほとんど割れなかったという人も。開き戸の場合は揺れを検知して作動する耐震ラッチなどの設置が必須。
Q4:屋根は「瓦」VS「スレート」
どちらが軽いでしょうか。
瓦 写真/Pi-chan〈PIXTA〉
スレート 写真/Orca〈PIXTA〉
A4:スレート。屋根が重いと地震で住宅が倒壊する危険が。瓦屋根が1平方メートルあたり約60キロあるのに対しスレート屋根は約20キロと圧倒的に軽い。より軽量な金属屋根もベター。
Q5:家具は「置き家具」VS「造り付け」
ノーヒント。
置き家具 写真/C.O.T /a.collectionRF〈amanaimages〉
造り付け 設計/エムズ・アーキテクツ
A5:造り付け。置き家具は地震の揺れによって転倒したり、動いて通路を塞いだり、飛び出したりと、さまざまな危険が。その危険性と家具の固定については次回の記事でご紹介します。
Q6:布団は「床に敷いて寝る」VS「ベッドに敷いて寝る」
家具が倒れてきたときのことを考えてみてください。
床に敷いて寝る 写真/freeangle〈PIXTA〉
ベッドに敷いて寝る 写真/takeuchi masato〈PIXTA〉
A6:ベッド。就寝時に地震で家具が倒れてきても、ベッドフレームに当たってそれが支えとなり、押しつぶされずにすむ可能性が高い。その前に家具が倒れてこない配置に。
Q7:収納は「ストックルーム」VS「納戸」
ノーヒント。
ストックルーム 設計/カガミ建築計画
納戸 写真/GYRO_PHOTOGRAPHY〈amanaimages〉
A7:ストックルーム。万が一ストックルームの中の家具が転倒したり収納物が散乱したりしても被害はその一部屋だけですむ。避難経路を塞がれる心配もない。備蓄にも便利。
Q8:窓には「雨戸」VS「シャッター」
より強風に強いのはどちらでしょうか。
雨戸 提供/LIXIL
シャッター 提供/LIXIL
A8:どちらも正解だが、シャッターのほうが耐風圧性能のよい製品があったり、電動で窓を開けずに室内から操作できたりとおすすめ。停電時には手動開閉できるよう確認を。
Q9:扉は「外開き」VS「内開き」
避難時、どちらのほうが逃げやすいでしょうか。
外開き
内開き 写真/Amit Geron /Arcaid〈amanaimages〉
A9:外開き。避難方向に向かって開くのが防災の観点からの基本的な考え方。集合住宅や、劇場、集会場の出入り口は外開きにすることが建築基準法で義務づけられている。
Q10:お皿を重ねるときは下から順に「大中小」VS「中大小」
普通は大中小の順だと思いますが……。
下から順に「大中小」
下から順に「中大小」
A10:中大小。この順番で重ねることで、中と大の遊びがなくなり、揺れの影響が小さくなる。ただし枚数を増やすと高さが出て、いずれにしても倒れてしまうので注意。
Q11:ベッド脇に避難用の靴を置くなら「スニーカー」VS「革靴」
スニーカーのほうが歩きやすいですが……。
スニーカー
革靴
A11:革靴。靴底が柔らかいスニーカーは、危険物を踏んだときに足裏に刺さる危険性がある。ただし踏み抜き防止インソールを入れておくことで対策できる。
(次回に続く。
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