〔特集〕「防災住宅」最前線 わが国は世界に類を見ない地震大国です。地震の活動期に入ったのでは?といわれる昨今は、震度5弱以上の地震が急激に増加しています。また、地球温暖化の影響とも目される異常気象により、「想定外」や「これまで経験したことがない」災害が当たり前になりつつあります。日本はとどめなく災害多発国への道を突き進んでいるように思います。ひとたび経験したことのない災害が発生し、広域全体が壊滅的打撃を受ければ、誰も助けてはくれない状況に陥るのは必至。わが家の安心・安全は自分で作る、家族の命は自分で守る、自助の精神とひとりひとりの強い覚悟が今求められています。命を守るために──私たちが今、住まいでできる防災の形を、最新の知見、情報を踏まえながら紐解いていきたいと思います。
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実践─わが家の防災力を高める
横瀬邸で防災コーディネート
建築、敷地、設備はすぐにはかえられませんが諦めないで。ここからは誰でも今すぐ実践できる防災情報をご紹介します。最新の防災グッズを使って、インテリアスタイリストの横瀬多美保さんにご自宅の防災に取り組んでいただきました。なかでも一番大切なのが家具の“固定”。住まいで何ができるか、参考にしながらチェックしてみてください。
【固定が生死を分ける】災害時には家具が凶器に
災害時の事故で最も多いのが、家具等の転倒、落下によるもの。その家具の中でも危険度が最も高いのが本棚、次いで食器棚、洋簞笥。これらの高さも重さもあるものに対策を施すことが命を守ることに直結する。
内部被害によるケガの原因
主な家具の被害状況 日本建築学会「阪神淡路大震災 住宅内部被害調査報告書」より
棚の中の本も落とさない
「落下抑制テープ」
本棚自体の転倒防止はもちろん、棚の中の本が落ちてこないようにすることも大切。棚の前端に貼るだけで、滑り止めになって落下リスクを低減させる。
「落下抑制テープ」(1.8メートル) 1254円(メーカー希望小売価格)/スリーエム ジャパン
“制震”発想で転倒を防ぐ
「T字型転倒防止器具」
本棚や簞笥の揺れを、約2センチの厚みがあるクッション材が吸収。壁と家具の間に隙間を作り、遊びを生むことで転倒を防止する。震度7実験済。「私でも簡単に取り付けられます」と横瀬さん。
「T型不動王」 3850円(参考価格)/不二ラテックス
重い冷蔵庫を確実に
「固定転倒防止ベルト」
「冷蔵庫が倒れると完全にキッチンとの動線が塞がれるので心配でした」と横瀬さんが話すように、冷蔵庫も壁への固定が欠かせない。粘着固定で震度7まで対応。
「スーパータックフィット 冷蔵庫用」7150円(参考価格)/北川工業
倒れて割れないように
「耐震ベルト」
画面が割れて二次被害にもつながりかねないテレビも固定が必須。テレビの裏と台をベルトで固定するものは目立ちにくく、前方への転倒防止に。
「耐震ベルト(粘着シールタイプ)」3880円/エレコム(エレコム総合インフォメーションセンター)
“飛んでくる”電子レンジやオーブンに
「粘着式固定具」
電子レンジやオーブンなどの小型家電は要注意。飛んで衝突してくる可能性がある。受け皿の両面の粘着性の耐震マットが、脚部を台にしっかり固定し、震度7にも耐える。
「タックフィット 電子レンジ・オーブンレンジ用」2420円(参考価格)/北川工業
暴れる食器に
「滑り止めシート」
「メッシュ状のシートは目立ちにくく、食器棚の雰囲気を損なうことなく設置できるのでおすすめ」と横瀬さん。樹脂製で、棚の大きさに合わせて切って使用する。
「ノンスリップ棚シート」(30×120センチ)997円/東和産業
落ちる額や倒れる花器に
「耐震マット」
粘着性があって揺れを吸収する「耐震マット」は万能。横瀬さんは花器の下と、壁とぶつかって落ちやすい額の下部に設置。
「転倒防止粘着マット」(4×4センチ、4枚入り)878円/アイリスオーヤマ(アイリスコール)
一番確実な
「L字金具」
家具を建物自体に固定できる「L字金具」。その際、壁の中の柱など、しっかりとした下地がある所でないと効果がないので要注意。耐震度7程度。
「家具転倒防止L字金具」1098円/アイリスオーヤマ(アイリスコール)
勝手に動き出すのを防止
「キャスターストッパー」
災害時に勝手に動かないよう、日頃から動かす必要のないときにはロックをかけ、キャスターストッパーの上に置いておくようにしたい。
「キャストッパー」(40~50ミリ用、4個入り)オープン価格/グリーンハウス
お高いものは美術館対応で
「ミュージアムパテ」
展示品の固定のために美術館やお店でも使われている。接着面を汚さずに繰り返し使えて、大切な飾り物の固定に最適。透明で目立ちにくい「ミュージアムジェル」も。
「ミュージアムパテ」2090円/アイガーツール
(次回に続く。
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