連載「12か月のフラワーリース」 世田谷区にアトリエを構える「宙花(そらはな)」のフローリスト戸部秀介さんが作る、季節のフラワーリースを毎月紹介します。空間を華やかに彩ってくれるフラワーリースと共に、花のある暮らしを始めましょう。
6月のリース「アジサイ」
明るい緑色のアジサイに、白いカスミソウをアクセントとして散らしたリース。リースにしてからもしばらくはこの鮮やかな緑が残ります。徐々に退色するものの、緑の色みは長く楽しめます。木のつるで編んだリースベース(直径約30cm)を利用しています。
戸部秀介/Shusuke Tobe35歳の時にフローリストへと転身。大手生花店、フランス人フラワーデザイナーの店で経験を積み、2016年に東京都世田谷区の中町に「宙花〜sora hana~」をオープン。リースを得意とし、ワークショップにも力を注ぐ。インスタグラム@sorahana.jp
インテリアに合わせやすい緑色のアジサイリース
花や葉、実などをサークル状に連ねた飾りをリース=wreathといいます。リースの歴史は古く、古代ギリシャ・ローマ時代に遡ります。輪には終わりがないことから「永遠の象徴」とされ、お祝い事にリースを飾る習慣はいまでも欧米で続いています。
最近ではリースを室内の飾りとして利用する方も多くなり、私の店でも人気のアイテムです。季節の花をフレッシュなまま輪に連ね、壁やドアに飾りながら自然に乾燥させるスタイルが多く、花によっては退色しながらも美しさを残し、2年、3年と飾り続けられるものもあります。そんなリースの中から、今月は緑色のアジサイを素材にしたリースをご紹介します。
アジサイは、切り花では旬のいまの時期だけでなく、夏以降もクラシック、アンティークなどと呼ばれるものが色付いた状態で出回ります。輸入ものも含めればほぼ1年中入手できるので、リースの花材としてよく利用しています。花房にほどよいボリューム感と密度感があり、ふっくらしたきれいな形にしやすいことも魅力で、しかもそのままきれいなドライ状態になり、長く飾って楽しむことができます。初めてリースにトライするなら、比較的扱いやすい花ではないかと思います。
アジサイは蕾が開花するとき、また色変わりする過程で緑色になる時期があり、その色みがやわらかく優しい印象です。緑色のアジサイでリースを作るとナチュラルな雰囲気になり、どんなテイストのインテリアにも合わせやすい作品になります。ご自宅の壁やドアに吊して飾るのはもちろん、贈りものとしても喜ばれると思います。
リースを作るときの私のこだわりが、きれいな丸い形に仕上げることです。リースベースに花をワイヤーで固定していく際に、常にアウトラインを気にすることがポイント。細部に集中しすぎて、全体像を見落とすと、歪んだ円形になってしまうので、ご自身で作るときには、そこを気をつけてみてください。
赤みを残したグリーンアジサイに、ごく淡いピンク色のスターチス‘シンジーシルバー’を加えてリースに。どちらもドライできれいに残る花なので、リースにおすすめです。
赤い色みが少し残るグリーンアジサイに、この時期に煙のような花序をつけるスモークツリーを合わせたリース。しっかりしたアジサイの花と、ふわふわのスモークツリー。質感の違いが変化のある表情をもたらします。スモークツリーもこのままきれいなドライになります。
アジサイより花が少し小さくかわいらしい印象の‘アナベル’だけでリースを作ってみました。‘アナベル’は緑色から白へと変化し、また緑色に戻ります。最近では庭木としても大人気ですが、この時期には切り花でも出回ります。