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『天国と地獄』と並ぶオッフェンバックのオペレッタ『美しきエレーヌ』

2024.06.20

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クラシック音楽を楽しく学べるトリビアを毎日お届け。

クラシックソムリエが語る「名曲物語365」 難しいイメージのあるクラシック音楽も、作品に秘められた思いやエピソードを知ればぐっと身近な存在に。人生を豊かに彩る音楽の世界を、クラシックソムリエの田中 泰さんが案内します。記事の最後では楽曲を試聴することができます。連載一覧はこちら>>

第294回 オッフェンバック オペレッタ『美しきエレーヌ』

イラスト/なめきみほ

イラスト/なめきみほ

社会問題の風刺を芸術の域にまで高めた名人芸

今日6月20日は、オッフェンバック(1819~80)の誕生日です。

その本名は、ヤーコブ・レヴィ・エーベルスト。ケルン出身のユダヤ人で、フランス第2帝政下で最も人気の高い作曲家です。

オッフェンバックの名は、一家でフランスに移住した際に、父親の出身地から取った芸名です。完成させた作品の多くが、パロディや政治風刺的な作品であるがために、娯楽音楽の作曲家と見られてきましたが、近年では、その音楽的真価が認められ、再評価が進む作曲家の筆頭です。


そのオッフェンバックが1864年に作曲した『美しきエレーヌ』は、彼のヒット作『地獄のオルフェ(天国と地獄)』と並ぶオペレッタの人気作です。その内容は、トロイア戦争の原因となったパリスによる絶世の美女スパルタ王妃ヘレネーの誘惑伝説をパロディ化したコメディです。

神話をたたき台としながらも、当時問題となっていた人妻の不倫や社会的地位の高い人物の放蕩ぶりを揶揄している面白さはオッフェンバックならでは。オーストリアの作曲家スッペ(1819~95)が、この作品に対抗したオペレッタ『美しきガラテア』を手がけたことも語り草です。


田中 泰/Yasushi Tanaka
一般財団法人日本クラシックソムリエ協会代表理事。ラジオや飛行機の機内チャンネルのほか、さまざまなメディアでの執筆や講演を通してクラシック音楽の魅力を発信している。
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