〔特集〕ミラノデザインウィーク探訪 ミラノサローネとは、「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称です。年間わずか6日間の家具の見本市が、組織的には無関係のミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ(サローネの外)」の活動を促し、「ミラノデザインウィーク」と呼ばれる“世界最高峰のデザインの祭典”を生み出すことになりました。ミラノがなぜ「世界のデザインの首都」になりえたのか。その答えを求めて、世界最大の家具見本市と世界のデザイン潮流を牽引するキーパーソンを探訪。その謎を紐解いていきます。
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【Minotti(ミノッティ)】
50~70年代回帰志向を明確に打ち出した4500平方メートルのサローネ最大展示(パビリオン)
ミラノサローネ国際家具見本市創設以来、62年間、変わらず支え続ける名門ブランド ミノッティ。今年もロー・フィエラミラノにて史上最大規模の4500平方メートルの圧巻の展示スペースでサローネを盛り上げました。
「保身に走らず、常に攻め続ける姿勢を忘れない」── レナート&ロベルト・ミノッティ(創業家2代目)
共同CEO である兄・レナート・ミノッティ(左)と弟・ロベルト・ミノッティ(右)。初代アルベルト・ミノッティが1948 年に創業したファミリー企業を1991年に受け継ぎ、1998年の建築家ロドルフォ・ドルドーニとの協業を転機に、ファッションブランドの手法を家具業界に取り入れ躍進。現在では80か国に販売店を持つ世界的な企業に育て上げた。
「ミラノサローネは常に、国際的なデザインのショーケースであるばかりではなく、創造の触媒であり、美と新しい機会の源泉です。国際舞台としてのサローネを、家具業界全体が結束し継続することを望んでいます」と創業家2代目のレナート&ロベルト兄弟は強い支持を訴えます。
2フロアを使った吹き抜けの会場ロビーは枯山水のような坪庭で演出。
今回のサローネでは、50~70年代への回帰志向をモダンさと融合させるチャレンジングな展示を全面展開。
穴あきコンクリートレンガは、ミノッティの典型的なデザインボキャブラリー。
二人の気鋭デザイナーを大抜擢し、新作の大部分を担わせるなど、がらっと変わった大胆な打ち出しが強いインパクトを与えました。
今回、新たに加わった二人の気鋭デザイナーの一人、ミラノ在住の建築家ハンネス・ピールによる新作のシーティングシステム「イヴ」。シート中央の丸いくぼみに、円形のテーブルやスツールを組み合わせることで、フレキシブルな使い方が可能になる。
ミラノとロサンゼルスを拠点に活躍するデザイナー・ジャンピエロ・タリアフェッリによる「スーパームーン」。ふっくらと丸みを帯びたボリューム感、ブークレ生地の採用など、70年代の雰囲気を纏った印象が、2024年ミノッティコレクションを特徴付ける。
「2024年コレクションのストーリーは、インスピレーション、記憶、革新で構成されています。視線は過去の時代の雰囲気に向けられ、私たちのDNAを尊重しつつ、モダンに再解釈されています」。
ミラノサローネにおけるミノッティ家の挑戦は、常に全世界のインテリアの潮流を左右しています。
ミノッティ
https://minotti.jp/ (次回へ続く。
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取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/