〔特集〕ミラノデザインウィーク探訪 ミラノサローネとは、「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称です。年間わずか6日間の家具の見本市が、組織的には無関係のミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ(サローネの外)」の活動を促し、「ミラノデザインウィーク」と呼ばれる“世界最高峰のデザインの祭典”を生み出すことになりました。ミラノがなぜ「世界のデザインの首都」になりえたのか。その答えを求めて、世界最大の家具見本市と世界のデザイン潮流を牽引するキーパーソンを探訪。その謎を紐解いていきます。
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【Molteni&C(モルテーニ)】
創業90周年の節目に30年代の名作住宅(ヴィラ・ネッキ)を巨匠(ヴァン・ドゥイセン)がモダンに解釈
モルテーニは、ミラノ近郊ジュッサーノを拠点とし、高い技術力を生かしたシステム収納が得意な総合インテリアブランドです。
「エレガンスとクラフツマンシップを大事にする世界観は不変」── ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン(クリエイティブディレクター)
自身の新作ソファ「ルシオ」と並ぶヴァン・ドゥイセン。シートに採用したPolimex®は、50%の再生素材、かつ100%再生可能素材で、サステナブルな取り組みが行われている。
Vincent Van Duysen(ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセン)
ベルギー出身。ゲントのサンルカス建築大学建築学科を卒業。1990年、アントワープに自身のスタジオを開設。2016年からモルテーニのクリエイティブディレクターに就任。
「今年創業90周年を迎えるモルテーニは、サローネを築いたファウンダーで、常に世界のデザインを牽引してきました。イタリアの巨匠、ルカ・メダやジオ・ポンティから影響を受けていますが、大事なことは、今、私たちが彼らと全く同じ方法でもの作りを続けていることです。量ではなく質、タイムレスなデザイン、クラフツマンシップ、素材の尊重。今の輝きだけでなく、未来永劫に輝けるもの作りを目指すこと。それがモルテーニの世界観であり遺産(レガシー)であることを強調したい」とクリエイティブディレクターのヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンは語ります。
ヴィンセント・ヴァン・ドゥイセンによるソファ「オーガスト」はクラシックな美学はそのままにモジュラーシステムを進化させ、ラウンド形状のユニットに。
今回の会場デザインのテーマは、モルテーニが創業した1930年代に、ミラノで活躍した建築家ピエロ・ポルタルッピがデザインした個人邸ヴィラ・ネッキからインスピレーションを得たもの。
モルテーニの代名詞であり、日本でも人気の高い憧れの収納システム。ワードローブは光の演出にこだわっており、美しく飾れる。
当時の最先端モダン住宅を、ヴァン・ドゥイセンが、現代風に解釈。
今回、Molteni&C「HERITAGE COLLECTION」より復刻された巨匠ジオ・ポンティデザインのソファ。イタリアのオリーブオイル生産者から出された廃棄オリーブオイルを使用したなめし革を採用。
時を経て色あせない名作住宅に生き生きと息づくモルテーニのもの作りの哲学と美意識。本物のデザインがここにはあります。
※すべて日本での発売未定。モルテーニ東京
https://www.molteni.it/jp/(次回へ続く。
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取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/