〔特集〕ミラノデザインウィーク探訪 ミラノサローネとは、「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称です。年間わずか6日間の家具の見本市が、組織的には無関係のミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ(サローネの外)」の活動を促し、「ミラノデザインウィーク」と呼ばれる“世界最高峰のデザインの祭典”を生み出すことになりました。ミラノがなぜ「世界のデザインの首都」になりえたのか。その答えを求めて、世界最大の家具見本市と世界のデザイン潮流を牽引するキーパーソンを探訪。その謎を紐解いていきます。
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【Paola Lenti & nendo(パオラレンティ)】
奇才nendo(ネンド)佐藤オオキとの初コラボレーション
4000平方メートルものミラノ初の旗艦店オープンを、新作発表の場に重ねたパオラレンティ。
庭園や温室をも含む大空間は、自然と人工環境の調和を試みるブランド哲学を集約させたもの。随所に色彩豊かな新作の心地よさが漂い、まさに都会のオアシスそのものでした。
アウトドア家具は、グリーンルーフ、トロピカルパティオなど異なる6つの庭で紹介。
特に注目を集めたのは、余剰素材に命を吹き込む「MOTTAINAI」プロジェクトの第2弾、ネンドによる「Hana-arashi」。
佐藤オオキ氏。モノクロームな作品を特徴とするnendoにとって、今回の色彩豊かなプロジェクトは異例の挑戦。単一素材、高周波熱圧着加工という単一工程だけで実現した「Hana-arashi」は、チェアとプフ、ランプ、バスケットで構成。
nendo 佐藤オオキ
デザインオフィスnendo代表。建築からプロダクトまで、幅広い分野で活躍。東京2020五輪の聖火台デザインのほか、現在は仏高速鉄道TGV新型車両のデザイン、2025大阪・関西万博日本政府館総合プロデューサーも担当。
「色をトレンド的手段ととらえる他社と違い、自然との調和を軸に積極的に使うパオラレンティ。その視線とタイムレスなもの作りに共感しました」と佐藤氏。
新チューブコードMossで新装した「Ami」。© Sergio Chimenti
桜を着想源に、満開と散りゆく美の物語を、製品とその廃材に重ねて表現。縫製も接着剤も不要で溶着できる素材特性を生かし、花弁のような端材を重ねたフワッと軽快な表現が見事です。
「儚さに美を見出す日本的美意識がヒントを与えられたら」。
敷地内では、nendoの個展「nendo:whispers ofnature」も開催。雲、光や影といった見逃しがちな自然現象を形にした5 つのコレクションを展示。
パオラレンティ ジャパン https://www.paolalenti.jp(次回へ続く。
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取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/