〔特集〕ミラノデザインウィーク探訪 ミラノサローネとは、「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称です。年間わずか6日間の家具の見本市が、組織的には無関係のミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ(サローネの外)」の活動を促し、「ミラノデザインウィーク」と呼ばれる“世界最高峰のデザインの祭典”を生み出すことになりました。ミラノがなぜ「世界のデザインの首都」になりえたのか。その答えを求めて、世界最大の家具見本市と世界のデザイン潮流を牽引するキーパーソンを探訪。その謎を紐解いていきます。
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【HERMÈS(エルメス)】
大地をテーマにした会場設営(セノグラフィ)でメゾンの世界観を表現
今年も独創的で迫力ある会場設営で人々を圧倒したエルメス。そのルーツである馬具作りの伝統と天然の素材感へのこだわりを表現した演出がユニークでした。
ミラノ市内ブレラの会場の床一面に広がる装飾は、イタリアやフランスから集められた16種の石、10種の土、4 種の木、レンガといった素材を用い、熟練した職人たちが1か月を要して作り上げた。歩道を行く来場者へ「過去に思いを馳せながら、時を超えて」というメッセージを込めている。
会場の床一面には、石、土、木材、レンガ材がジョッキーシルクの構図を描いて敷き詰められ、その上を十字に交差する歩道が続き、まるで遺跡の上を歩くかのようにステージ裏の展示室へと導かれる演出です。
そこでは、新作とそのインスピレーション源となったエルメスのアーカイブの品々を並べて紹介。
大胆な床装飾ステージの背後に設置された展示ギャラリー。エルメスのアーカイブの品々の隣に、新作と近年の作品を展示。
たとえば印象的な幾何学模様の色彩のベッドカバーと50年代のジョッキーシルク、ふち飾りや組紐のモチーフが描かれた磁器と50年代のロープストラップといったスタイルです。
1950年代のシルクサテンの騎手用ジャージからインスピレーションされた新作ベッドカバー「タータン・ダイ」。手紡ぎ、手織り、折り染めのカシミア製。手描きのような縦横の色帯が特徴。
すべてにメゾンの秀逸な職人技が息づいています。流行に左右されないタイムレスなメゾンのクリエーションを見事に表現していました。
80年代の狩猟用鞭のディテールに着想を得たランプ「ヴォルティージュ・ドゥ・エルメス」。©MAXIME VERRET
エルメスジャポン
https://www.hermes.com(次回へ続く。
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取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/