〔特集〕ミラノデザインウィーク探訪 ミラノサローネとは、「ミラノサローネ国際家具見本市」の通称です。年間わずか6日間の家具の見本市が、組織的には無関係のミラノ市内のデザインイベント「フォーリサローネ(サローネの外)」の活動を促し、「ミラノデザインウィーク」と呼ばれる“世界最高峰のデザインの祭典”を生み出すことになりました。ミラノがなぜ「世界のデザインの首都」になりえたのか。その答えを求めて、世界最大の家具見本市と世界のデザイン潮流を牽引するキーパーソンを探訪。その謎を紐解いていきます。
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【ARMANI/CASA(アルマーニ/カーザ)】
パラッツォ・オルシーニを生かした物語性ある演出
ミラノ市街地を使って展開されるフォーリサローネの醍醐味は、普段入れない歴史的建造物が公開されること。
宮殿の開放感がある吹き抜けの階段。会場はパラッツォ・オルシーニの2階。
「パラッツォ・オルシーニ」に本社を置くアルマーニは、ここを開放し新作を展示。会場となる2階に上がると、18世紀に描かれたフレスコ画に圧倒されます。
窓側反対の壁は鏡張りになっており、普段はオートクチュールのフィッティングが行われている様子がしのばれます。
曲線が美しいラウンド型の新作ソファが置かれた中国の部屋。今回の展示の一番大きな部屋で、大天井のフレスコ画が圧巻。中国皇帝の豪華さを表す金と赤のコントラストを生かしたインテリアでまとめられている。
今回の展示テーマは、「世界からの響き」。アルマーニ自身が、最もインスピレーションを受けた国々への “映画のような” 旅をイメージ。
日本の部屋では、鎧から着想を得たバッファローホーンのモザイク柄のデスクがディスプレイ。©Federica Bottoli
ヨーロッパ、日本、中国、アラビア、モロッコに呼応する部屋には、私邸の要素が加えられ、アルマーニの思い出が物語のように進んでいきます。
モロッコの部屋では、ベルベル人の民族衣装から着想を得た幾何学模様の生地を用い、既存のベッド「モルフェオ」にベルベット張りを施し、新しい見せ方を提案。
興味深いのは、着想を与えた収集品が、コレクションに対比する形で展示され、アルマーニの思考を旅しているような仕立てになっていることです。
アルマーニ/カーザ
https://www.armani.com/(次回へ続く。
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取材協力:ミラノサローネ国際家具見本市
https://www.milanosalone.com/