応募例2
尊敬する師のもとで大好きな桃山陶の写しの器作りに熱中しています(廣田克子さん)
普段の食卓でも使うという中央の「織部切り落し四方形手付鉢」は、素焼き前に新聞紙で取っ手を固定し高さを出すなどの工夫が施されている。手前は織部向付、奥は菊を絵付けした平向付。
もともと古い日本の器に魅力を感じていた、廣田克子さん。以前も陶芸教室に通っていましたが、5年ほど前から桃山陶の写しを制作し始めました。これは、軽井沢に窯を構えて、中国、朝鮮の古陶や、尾形乾山の写しに取り組む陶芸家、田端志音さんに器作りを習い始めたことがきっかけです。
一番お気に入りだという織部手付鉢は、取っ手の付け根や釉薬の深みがある色味まで見事に桃山陶を再現しています。写しはすべて、お気に入りの名品が載った図録をじっくり見たり、琳派の展示を行う美術館を巡ったりして制作するそう。「土も釉薬も田端先生と同じものを使わせていただくので、先生の窯で焼くと、やはりとてもいい色合いに仕上がります。食器のほかに多く作るのは茶碗で、自宅の茶室に座り、自分の作った茶碗でお茶を飲むという、昔からの夢も叶えました」。
赤楽茶碗と茶箱に入れるために小ぶりに仕上げた白楽茶碗。蒔絵の教室にも通っているので、割れてしまった茶碗は漆で金継ぎし大切に使っている。右奥は、お気に入りの裂地で作った仕覆。
「ご縁があって素晴らしい先生に出会えたことが人生を豊かにしてくれました」と語る廣田さん。田端さんと知り合い、器の知識も深まったそう。