連載「雨のことば」8月 白雨(はくう)
文=矢部太郎(お笑いタレント・漫画家・気象予報士)
「白雨」とは夕立やにわか雨のこと。雨脚が強く太いため、地面から跳ね上がるしぶきが白く見えることからこう言われます。
白いしぶきとともに立ちのぼる雨の匂いも感じられるような。その匂いがいつかの夏の記憶を連れてくるような。そんな言葉です。
夏の日差しが大気を暖め上昇気流が生まれ出来た入道雲がプールに入っている僕の頭上から急に激しい雨を降らせる。いつもは濡れてはいけない、濡れたくない雨なのに、今は濡れてもいいのだ。というあの不思議な感覚。
夕立の匂いはそんな遠い夏の記憶も呼び起します。
この時季の雨のことば銀竹(ぎんちく)
山賊雨(さんぞくあめ)
一陣の雨(いちじんのあめ)
瞑怒雨(めいどう)
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