最新研究でここまでわかった！若さと健康は“口の中”で決まる「口腔ケア」で病気知らずの体へ 第1回 歯周病の、全身への影響が注目されています。糖尿病、心筋梗塞、認知症など、多くの病気のリスクを歯周病が高めているためです。病気知らずの若々しさは口の中の健康から──。口腔ケアの意識が高く、健康的な歯が魅力の相田翔子さんが「最新知識を身につけ、健康寿命を延ばしたい」と麻布台西堀歯科を訪問。お悩み別の磨き方と歯ブラシ選びも、今日からさっそくお役立てください。
“予防的口腔ケア”で全身疾患のリスクを抑える
歯科医師（麻布台西堀歯科）菅野文雄先生歌手・俳優 相田翔子さん
衣装協力／DAMA collection、NATURALI JEWELRY
糖尿病、心筋梗塞、認知症も。歯周病が全身に及ぼす悪影響
相田翔子さん（以下、相田） 小学生の頃、歯医者さんに「歯がきれいだね」と褒められたのが嬉しくて「歯を大事にしよう」という意識が芽生えました。今も虫歯はほとんどないのですが、最近、疲れると一時的に歯茎が腫れて「もしかして歯周病かしら？」と心配になることがあります。
相田翔子さん1988年アイドルデュオ「Wink」でデビュー。96年の活動停止以降は映画、ドラマ、舞台等で俳優としても活動。2020年第6回「歯が命アワード」（健康的で美しい歯を持ち、活動や生き方においても輝いている方を表彰）受賞。2024年10月4日（金）ビルボード横浜にて「Shoko Aida Billboard Live ～with love Ⅱ ～produced by Jiro Yoshida」を開催予定。「歯周病が認知症にも関連しているとは！今まで以上に気合いを入れて歯を大切にします」（相田翔子さん）
菅野文雄先生（以下、菅野） 40～50代は歯周病以外にもさまざまな病気が増えてくる年代ですね。したがって口腔ケアへの意識を今まで以上に高める絶好のタイミングだといえます。なぜなら歯周病の影響は口の中だけでなく、体全体に及ぶからです。歯周病との関連が多少なりとも指摘されている全身疾患の中でも特に関連性が高いとわかっているものを下図に示しました。
菅野文雄先生1987年東京歯科大学卒業。同年慶應義塾大学病院口腔外科学講座入局。2003年ペンシルベニア大学大学院歯周科修了。慶應義塾大学医学部歯科口腔外科非常勤講師、米国歯周病学会認定医、日本臨床歯周病学会認定医。「今や、口の中から全身の健康を守る時代。歯科健診を受け、最新研究に基づく口腔ケアを」（菅野文雄先生）
歯周病との関連が指摘されている主な全身疾患
歯周病が影響するとされる全身疾患の中で、特に科学的証拠に基づく関連性の高いものを抜粋しました。
出典：『歯科衛生士のための21世紀のペリオドントロジーダイジェスト』（クインテッセンス出版）
相田 広範囲で、しかも命にかかわるものや健康寿命を損ねかねない病気ばかりです。
菅野 唾液中の細菌が気道に入ると誤嚥性肺炎が引き起こされます。全身麻酔の直前に口腔内環境をチェックするのはこのためです。また、心筋梗塞の要因となった冠動脈内のプラーク（粥状に溜まった脂肪）から歯周病菌が発見されており、口内の炎症部位から血管に侵入し心臓に到達したと考えられます。口から消化器を通り胃酸で死滅することなく大腸まで達し、大腸がんのリスクを高める菌もあるといわれています。さらに糖尿病は歯周病と相互に悪影響を及ぼし合うことがわかっている唯一の疾患で、歯周病は糖尿病の合併症の1つにも挙げられています。
相田 私がとても気になるのが認知症です。
菅野 アルツハイマー型認知症の患者さんの脳から、歯周病原菌が出す毒素が高頻度に検出されています。また歯周病によって歯が失われて咀嚼機能が衰えたり、食欲が落ちて低栄養状態に陥ることが脳の老化を進ませ、気力や認知機能を低下させるとも考えられます。
相田 丈夫な歯は脳の健康にも、活動性や若々しさにも欠かせないものなのですね。
