歯を守る唾液の量と質が変わる、更年期世代の女性は要注意
相田 最近、気になっていることがあります。テレビ番組の収録が2時間も続くと、口の中がカラカラに乾いてしまうのです。もしかして唾液の量が減ってきたのかと心配で――。
菅野 それは緊張のせいかもしれませんね。唾液には食後に酸性になった口内を中性に戻して歯を溶けにくくするなど大事な機能があります。短時間の乾燥であれば問題はありませんが、何日も続くと虫歯や歯周病になりやすい状況に。唾液の量や質には個人差があり、女性ホルモンの減少やストレスによっても変わります。更年期に限らず生活上の大きな変化が生じたときは、特に念入りな口腔ケアを心がけていただきたいですね。
最新の研究や検査法を生かして歯科から全身の“未病を防ぐ”
相田 効果的な予防のために、まず自分にどの程度の歯周病リスクがあるのかを知りたいです。こちらの医院ではかなり内容の充実した歯科健診を行っているそうですね。
菅野 最新の研究成果に基づく検査で口腔内の状態を調べ、リスクの軽減や予防、症状改善につなげています（健診メニューは第2回で紹介）。その一つが慢性炎症の検査。慢性炎症は長時間にわたり持続する炎症で、放出する物質が血糖値のコントロールを妨げて糖尿病の治りを悪くし、心筋梗塞のリスクも高めます。
最近、口の中の慢性炎症の程度を歯周ポケットの深さなどから算出し、面積で表して“見える化”する画期的な方法（第2回で紹介）が登場しました。ある論文には、糖尿病の患者さんが慢性炎症を口腔ケアで軽減した後、血液検査で、糖尿病の重要な指標であるHbA1c（ヘモグロビンエーワンシー）やhs-CRP（高感度の炎症マーカー）が改善したという報告があります。
相田 こんなにも歯科の検査内容が進んでいるとは驚きました。ほかに何か新しい予防法や取り組みはありますか？
菅野 歯の表面を覆っているバイオフィルム（歯周病菌の集まり）を除去するケアをおすすめしています（第2回で紹介）。さらに新たな試みとして、同フロアの麻布台クリニックと医科歯科連携の健診プログラムを開始しました。“未病を防ぐ”という医科も歯科も共通の目標に向けた協力体制のスタートです。
相田 先生のお話を伺って、「一生、自分の歯でおいしく食べたい」との思いがいっそう強くなりました。さっそく、歯科衛生士さんから歯科健診の内容と効果的な歯周病予防について教えていただこうと思います。
麻布台西堀歯科
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズタワープラザ4階
TEL：03（6459）1031
診療時間／月曜～土曜9時～13時、14時～18時
https://nishibori-dental.com/
近未来型予防医学へのアプローチ 医科歯科連携の健診プログラム開始
麻布台西堀歯科と、同フロアの麻布台クリニック（内科、消化器内科、リウマチ科、皮膚科、婦人科ほか）による医科歯科連携の健診プログラムが始まりました。
麻布台クリニックが実施する健康診断や人間ドックのコースに西堀歯科の歯科健診を組み合わせて受診します。単独で受診する機会の少ない歯科健診も医科の健診と一緒なら受けやすく、また歯科でしか評価できない歯周炎に代表される慢性炎症をとらえ、医科での全身疾患の治療に生かせる利点もあります。
「将来的には運動や食の分野にも連携を広げ、患者さんの健康を多方面から支えたいですね。医科歯科連携健診は、私たちの目指す近未来型予防医学への第一歩だと考えます」（麻布台クリニック 健診・人間ドック担当 吉岡政洋先生）。料金の目安／女性生活習慣病健診＋歯科健診プレミアムの場合5万9000円
麻布台クリニック
東京都港区麻布台1-3-1 麻布台ヒルズタワープラザ4階
TEL：03（5544）9390（代表）
03（5544）9395（健康診断・人間ドック）
健診予約／月曜～土曜9時～17時
https://www.azabudaiclinic.com/（次回へ続く）
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