「口腔ケア」で病気知らずの体へ 第5回 歯周病の、全身への影響が注目されています。病気知らずの若々しさは口の中の健康から──。お悩み別の磨き方と歯ブラシ選びも、今日からさっそくお役立てください。
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効果のない歯磨きに革命を！「歯ブラシ選び」で歯周病を予防する
市販の歯ブラシは、自己流でも効果的に磨けるよう工夫を凝らして設計されています。そのため歯の形に合わせて一本ずつ丁寧に歯磨きするのが難しい人も歯磨き習慣に合わせて歯ブラシを選ぶことで、歯周病の予防効果が高まります。あなたの“理想の一本”を、ぜひ見つけてください。
ブラッシング指導を受けても磨き方を変えられない人が多い
歯磨き習慣に合わせて歯ブラシを替える
「歯科医師が推奨する正しいブラッシング法できちんと磨けている人は、実は全体の1～2割程度しかいません」と高柳篤史先生は指摘します。
高柳歯科医院院長
東京歯科大学 衛生学講座客員教授
高柳篤史先生1989年、東京歯科大学卒業。96年、同大学大学院修了（衛生学）。長年にわたり歯磨きの研究を続け、歯科における予防医学の第一線で活躍。「8020」推進財団広報委員、日本口腔衛生学会代議員。
歯周病予防の基本は歯垢除去で、毎日の歯磨きが有効です。令和4年歯科疾患実態調査では成人の約2人に1人が歯周病であることがわかっており、このデータは日本人の大半が毎日歯磨きをしているにもかかわらず、高柳先生がいうように正しく磨けていない人が多いことを裏づけています。なぜ、正しく磨けていないのでしょうか。
「ブラッシングテクニックの習得は難しいうえに、歯磨きは単なる生活習慣として行われることが多いからです。歯科医院で指導を受けても数か月で自己流の磨き方に戻ってしまうのはそのせいです」
自分ではきちんと磨いているつもりでも、歯周病の予防効果がそれほど期待できない毎日の歯磨き。「この改善策としてすぐに誰でも簡単に取り組める方法があります。それは自分の歯磨き習慣に合わせて歯ブラシを替えることです。それだけで磨き残しを減らせて歯周病の予防効果はアップします」。
チャートからわかる 自分の「歯磨き習慣」に合った歯ブラシ
『サイエンス 歯ブラシを科学する：歯ブラシの形態と物理的特性』高柳篤史 日本歯科医師会雑誌 第70巻第6号 2017を参考に作成
多くの人が一般的な方法で効果的に磨けるよう設計されている市販の歯ブラシは多種多様です。この中から自分の歯磨き習慣に合った歯ブラシを上手に選択する際の目安になるのが「ブラッシングにかける時間」と「磨き方のクセによる磨き残しの程度」です（下図参照）。
歯ブラシ選びの目安
『行動科学に基づいたブラッシング用具の選択と使い方』高柳篤史 日本歯科医師会雑誌 第73巻第4号 2020を参考に作成
この2つをチェックすることで“理想の一本”がおおよそわかります。また、ブラッシング時間が短い場合は、気になる歯科疾患に合わせて歯ブラシを選ぶと予防効果がさらに高まります。
多種多様なデンタルグッズ。その特性をよく知って使い分ける
「毎日の歯磨きで歯垢をしっかり除去するには生活シーンに合わせて複数の歯ブラシを使い分けるのもおすすめです」と高柳先生。例えば、忙しい朝は短時間で汚れを落とす大型・幅広タイプの歯ブラシを使い、ブラッシング時間が十分にとれる夜はコンパクトタイプや極細毛タイプの歯ブラシで丁寧に磨きます。
歯ブラシのタイプとその特性
『行動科学に基づいたブラッシング用具の選択と使い方』高柳篤史 日本歯科医師会雑誌 第73巻第4号 2020を参考に作成
「タイプが異なる歯ブラシを上手に使うことで、互いの短所を補い合い、より効果的なプラークコントロールが可能になります」。そのためにも、それぞれの歯ブラシの特性をよく知っておきましょう（上表参照）。
（次回へ続く）
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