自分が今ここに存在しているという事実。また、そこには親がいて、そしてそのまた親には……とたどり続けると、いったい誰に行き着くのでしょう。
この壮大な命のリレーという仕組みの中に存在している私たち。奇跡と不可思議を感じ、自然と両の手を合わせ祈る自分がいます。
お祈りは神仏の前だけではなく、いつでもどこでも、仕事中でも布団の中ででも、日常どんなときでも心の中で手を合わせることができるもの。
すなわち、心の信仰です。
ボーダーレスの時代と言われ、世界中の人と人とがインターネットでつながっていますが、神仏や先祖に対して、心をもってつながる時間も大切ではないでしょうか。
5秒でも10秒でもいいのです。心の中で感謝の祈りを忘れずに。
塩沼亮潤(しおぬま・りょうじゅん)
1968(昭和43)年、宮城県⽣まれ。1987年奈良県吉野の金峯山寺で出家得度。1999年「⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)」の満⾏をはじめ、2000年には9⽇間の断⾷・断⽔・不眠・不臥の中、御真⾔を20万遍唱える「四無⾏(しむぎょう)」を、2006年には、100日間の五穀断ち・塩断ちの前⾏の後、8000枚の護摩を焚く「⼋千枚⼤護摩供(はっせんまいだいごまく)」を満⾏。同年故郷の仙台市秋保に福聚山 慈眼寺(ふくじゅさん じげんじ)を建立。「⼼の信仰」を国内外に伝えている。公式Youtube>>
◆⼤峯千⽇回峰⾏(おおみねせんにちかいほうぎょう)とは
奈良県吉野山にある金峯山寺(きんぷせんじ)蔵王堂から、24km先の山上ヶ岳頂上にある大峯山寺(おおみねさんじ)本堂までの往復48km、標高差1355mの山道を毎日16時間かけて1000日間歩き続ける修行。毎年5月3日から9月3日までの4ヵ月間が行の期間と定められているため、満行には9年の歳月がかかる。毎日おにぎり2個と500mlの水、約4時間半の睡眠で臨む、 肉体的にも精神的にも極限まで追い込まれた状況下での命がけの荒行。塩沼さんは、1991年5月3日から4万8000kmを歩き、1999年9月3日に成満している。
文/塩沼亮潤 撮影/善家宏明 上牧佑