山崎さんが暮らすモロカイ島は、ハワイ文明の発祥地と言われる小さな島で、人口の6割以上の方がハワイアンの血筋を持っているそうです。「昔からの美しさが残る島です。モロカイ島で暮らす人たちは、出来事に対する反応が特徴的です。起きている出来事をそのまま受け入れていて無駄にリアクションをしない。出来事に反応して自分が変わってしまうということがないんですね。
分離感がある(自分と反応する対象がある)とリアクションが起きますが、自分が世の中の、そして自然の一部だということが、すごく深いところで身についているから動じない。これは全ての人に備わっているものです。なのに、いろいろな要因でそれが分かりづらくなってきて、一生懸命自分で何とかしなくちゃという考えに変わって苦しくなってしまう……」。
まずは、何かをしなくちゃいけないと考えるのをやめてみてほしいと山崎さんは優しく微笑みます。「もっと大事なものを見て。家族や近くにいる人、自分がどこにいるのか。どこに行こうかではなくて、どこにいるのかなという感じが大事なんです」。
山崎さんは、今回の展覧会のリーフレットにこんなメッセージを入れました。
そろそろ思い出すといい、手紙の差し出し人があなただったこと、あなた自身だったこと、そしてあなたは最初から待ち合わせ場所にいることを。「今話したことが展覧会のメインテーマなんです。なので、どこかに行かなくていいんですよ。もう既にいるんだよということを受け取ってもらえたら嬉しいなと思います」。
展覧会のために帰国した山崎さん。人と環境に優しい素材で作られた、京都のヨガウエアブランド「aina style」の1点物のワンピースを纏って自身の作品の前で。ワンピースは和紙で出来た素材が使われていて、完全に土に還る。「私たちはこの惑星の一部という感覚にフィットするものを、一つ一つ大切に選びたいなと思っています」。
山崎美弥子展 「“Planet Journal─惑星日記”」会期:2024年7月31日 (水)~8月12日(月・祝)
時間:11時~19時30分
※7月31日(水)のみ18時まで
場所:スパイラルガーデン(東京都港区南青山5-6-23 スパイラル1階)
入場無料
絵画作品の展示・販売のほか、ブックレット・書籍・グッズの販売、複数のアーティストたちやプロダクトとのコラボレーションによるインスタレーションの展示も行われます。
参加作家は春山福太郎(植栽)、ULTIMATE RHYTHM & NOISE (映像・音楽)、 コセキイサオ(オブジェ)、テライシマナ(押し花)、paco(AIアート)、yüüki&mana(歌)、Paul Fischer(木工)。
山崎美弥子(やまざきみやこ)アーティスト。1969年東京都生まれ。 多摩美術大学絵画科卒業。 東京を拠点として国内外で作品を発表する。その後一転し、 2004年から太平洋で船上生活を始め、現在は人口わずか7000人あまりのハワイの離島で1000年後の未来の風景をカンバスに描き続けている。インスタグラム
@miyakoyamazaki