ニコ・ロミートシェフの豊洲探訪「食材は私の料理の最大のインスピレーション源」と語るニコ・ロミートシェフ。宝石のような日本の魚介類の魅力を深掘りすべく、600種以上の魚が集まる早朝の豊洲市場を訪ねました。
“世界一の魚市場”で 見つけた日本の恵み
「豊洲市場の魚介類の種類の豊富さは特に素晴らしく、どれも丁寧に扱われて輝いている」と笑顔を見せるロミートシェフ。
【ブルガリ ホテルズ & リゾーツ/イル・リストランテ ニコ・ロミート】
ニコ・ロミートさん
1974年、イタリア・アブルッツォ州生まれ。2000年、姉とともに実家の店を引き継ぐ。2011年に現在の場所である16世紀建造の歴史的な修道院に移転。2013年にミシュラン3つ星。
「日本のマーケット(豊洲市場)で感じたのは生産者とシェフの信頼関係」──ニコ・ロミートシェフ
ブルガリ ホテル 東京とともに、ミシュラン1つ星を獲得した館内のメインダイニング「イル・リストランテニコ・ロミート」も2024年4月で1周年。この特別なひとときを祝うため、ニコ・ロミートシェフは3回目の東京訪問を果たしました。
新鮮なのどぐろを手に取り、「この魚はどう調理するとおいしいですか?」と和気あいあいとお店の人とコミュニケーションを取る2人。日本の伝統的な調理法を通して、日本の味のバランスや食材の個性も把握するそう。
イタリア・アブルッツォで営む3つ星店「レアーレ」でも、食材の多様な魅力を引き出すスタイルで知られ、日本のミニマルな美意識と自身の共通点を感じてきたというロミートシェフですが、今回は日本の素晴らしい食材をより深く知りたいと、チームにリクエスト。東京店のヘッドシェフで、普段から日本食材に親しみのあるマウロ・アロイシオシェフを案内役に、朝の豊洲市場を訪問しました。
「日本に来てから、魚への理解がより深まりました」
──マウロ・アロイシオシェフ(イル・リストランテ ニコ・ロミート レジデント ヘッド シェフ)
魚の大きさなどによって、区画ごとに整然と店が並んでいて、魚臭さもほとんどないことに驚いたというロミートシェフ。
「この種類の海老は、イタリアでは見たことがないね」と見事な大きさのぼたん海老にも興味津々。
まず目を留めたのは、見事なぼたん海老。「地中海の赤海老と手長海老の間のような味わいのこの海老一つとっても、日本の食材の素晴らしさを感じる」と絶賛。またイタリアでも地中海産のうにが採れるそうですが、日本のうにの多様さや塩水入りなどの仕立てにも感銘を受けた様子です。
「魚介類の豊かさはもちろん、魚の部位を細かく分けたり、仕立てを変えるのは、『食材をより食材らしく』という自然への敬意があると知りました。自然を尊敬する生産者をシェフが尊敬し、そんなシェフをお客様が尊敬する。日本には素晴らしい敬意に基づいた循環があります」と感慨深そうに話しました。