〔特集〕軽井沢を選ぶ理由 名門避暑地、軽井沢の人気は高まる一方です。従来型の別荘需要にとどまらず、定住者が急増していることが最近の大きな傾向です。自然に親しむライフスタイルを愉しむ人々、そして軽井沢通の間で評判になっている美味処やスポットなど、ますます活気づく軽井沢の最旬の魅力を紹介します。
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名門避暑地の愉しみは自然に浸ること
自然を愉しむ 優雅なライフスタイル拝見
自然を何よりも尊び、そこに溶け込む暮らしこそが、名門避暑地、軽井沢の本来の目的であり、愉しみです。明治期、西洋人によってもたらされた「健康保養地」「リゾート」という概念は、この地に根付き、恵まれた風土を生かした豊かなライフスタイルが形を変えて今に受け継がれています。自然を享受し、趣味に生き、人生を愉しむ軽井沢の流儀と最旬の愉しみを探訪します。
カリスマギタリスト 森の音楽ライフ
高中正義さん(ギタリスト)
創作活動、2拠点生活、英国式スポーツ、ガーデニング......。名門避暑地、軽井沢に拠点があるからこそ、愉しめる豊かな暮らしを訪ねました。
森に続くご自宅の庭でギターをつまびく高中正義さん。その指先が繊細な音色を奏でた途端、庭の空気が一変し、さながら野外ライブ会場に。人も鳥も虫も音楽に酔いしれる至福の時間。
高中正義(たかなか・まさよし)1953年東京都出身。「サディスティック・ミカ・バンド」でギタリストとして活躍後、1976年にソロ・デビュー。「READY TO FLY」「BLUE LAGOON」などが大ヒット。1981年のアルバム『虹伝説』は日本インスト音楽史に残る傑作。2000年に自社レーベル「LagoonRecords」を設立。最新のブルーレイディスク『高中正義 TAKANAKA SUPER BESTLIVE 2023 ULTRASEVEN-T』は2023年9月の東京・日比谷野外大音楽堂公演を完全収録したもの。●『高中正義 TAKANAKASUPER LIVE 2024「黒船 来航50周年」』は、2024年9月14日の仙台をスタートに全国で13公演を予定。上海、ロサンゼルスの公演の詳細は近日発表予定。URL:
https://takanaka.com/ 名演奏の源は、愉しくもストイックな軽井沢の日常
窓外は森、テレビ画面には南国の海、ロサンゼルスのカフェで一目惚れして買ったテーブルの上には「ソーヴィニヨン・ブラン」の白ワイン。好きなものだけに囲まれた暮らし。
「ビールもシャンパンもすぐ飽きる。でも、白ワインと軽井沢は不思議と飽きません」── 高中さん高中正義さんといえば、日本のロック界、フュージョン界を代表するギタリストのお一人。
名曲「BLUE・LAGOON(ブルー・ラグーン)」の爽やかなメロディは、音楽に詳しくない人でも耳にしたことがあるはずです。そんな高中さんが軽井沢に居を構えたのは、今から24年前のことでした。
「軽井沢には昔からよくテニスをしに来ていて、自然がきれいで気持ちがいいから、ずっといたいなと思っていたんです。僕は海が好きでバハマに家を持っていた時期もありますが、高校でワンダーフォーゲル部に入っていたくらい山も好き。それで八ヶ岳が見えるこの場所に決めました。木がどんどん伸びて、今ではほとんど見えませんが(笑)、これはこれで癒やされる眺めです。あと、ここは車の音が届かないのもいい。僕の実家は繁華街の麻雀店で、牌を混ぜる音を聞きながら育ったので、よけいに静かな場所に惹かれるのかもしれませんね」と高中さん。
東京と軽井沢、バハマを行き来する生活を3年ほど送ったのち、お子さんが幼稚園に入るタイミングで軽井沢に完全移住。現在はそのお子さんも独立し、奥様と愛猫と暮らしています。
庭の緑を見ながら入れるようにつくったバスルーム。十和田石の湯船は水に濡れると美しい青緑色に。
高中家の愛猫たち。現在一緒に暮らすプックル(右)、今は亡きビアンカ(中央)とチロル(左)。皆、高中さんが一時期夢中になったゲーム「ドラゴンクエストⅤ」のキャラクターから名付けたそう。
朝8時の起床から始まる高中さんの一日は、軽めの食事5回、入浴3回、約1時間のストレッチと筋トレを3回、約1時間のギターの練習を3回、とルーティンづくし。
すべては心身ともにいいコンディションでいい音楽を奏でるためと聞けば、そのストイックさに感嘆しますが、実践されているご本人はいたって自然体で、むしろ愉しそう。どのルーティンも音楽付きなのが、愉しく続けられている理由かもしれません。
引き締まったボディと軽やかな身のこなしは、日々の努力の賜物。「音楽のためなら節制できる」とさらりといってのける高中さん、かっこいい!
「朝食後の筋トレ時にかけるのはだいたいマリーナ・ショウのアルバム。入浴時はインターネットラジオで世界中のジャズを聴きます。夜の筋トレでは、リズムの気持ちいい音楽を聴きながら踊ったりすることも。人には見せられませんけどね」。
充実した音楽ライフのかたわら、高中さんが大事にしているのが、行きつけのレストランでおいしい食事とおしゃべりを楽しむ時間。
「よく行くお店の人はみんな友達。たまに飲みすぎて、翌朝のルーティンがくずれます」と気さくな素顔をのぞかせます。
「毎日弾いていないと、指が動かなくなる。ライブの前は10日間以上禁酒して練習します」
高中さんのリクエストで“バハマの海色”に塗られた「タカミネ」のエレクトリック・アコースティックギター。愛用して10年になるそう。
2024年9月からは恒例の全国ツアーが始まりますが、今回は大きな違いが一つ。「初の上海公演を冬に、30年以上ぶりのロサンゼルス公演を来春に予定しています。すごく愉しみです」。
待ちきれないといった表情で語る高中さんに最後、「夢」を伺うと、「グラミー賞! いうのも、夢見るのもただだからね」とのお返事。
取材中、ずっと愛おしそうにギターに触れていた高中さん。軽井沢の森に今日も、カリスマギタリストが奏でる優美な音色が響きます。
(次回へ続く。
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