連載「郷土玩具の心意気」
9月 人形笛〈青森県・弘前〉
選・文=中村浩訳(日本郷土玩具の会会長)昔、土を舐めると「癇の虫」が治ると伝わるおまじないがありました。「癇」は癇癪(かんしゃく)のこと。
癇癪を起こすのは、体の中にいる虫の仕業で、土を舐めることでその虫を退治できるというのです。土をそのまま舐めさせるのは芸がなく、子どもも嫌がります。そこで土を捏ねて人形にした笛を作り、それを吹かせて土を舐めさせることを思い付きました。
なかなかのアイデア。こうして青森県弘前市では、昔から日用品を焼く傍ら、数百種類もの土人形や笛が作られてきました。今では音を楽しむ郷土玩具、「青森の人形笛」として伝わっています。
左から「旗持ちタコ笛」(高さ約5.5センチ)、「化け猫笛」(高さ約8.5センチ)、「餅つきウサギ笛」(高さ約7.5センチ)、「立ち招き猫笛」(高さ約8センチ)/高谷下川原焼土人形製陶所(高谷智二作)
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