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ひんやりと冷やして。北海道産小豆の“あんが主役”の涼菓

2024.08.13

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エッセイ連載「和菓子とわたし」

「和菓子とわたし」をテーマに家庭画報ゆかりの方々による書き下ろしのエッセイ企画を連載中。今回は『家庭画報』2024年9月号に掲載された第38回、神野美伽さんによるエッセイをお楽しみください。

vol. 38 世界の和菓子

文・神野美伽


「和菓子」は私にとって、長年歌い続けてきた「演歌」と同じ意味合いを持つものだと感じています。

共に、私たち日本人が四季折々の素材や風情を大事にしながら作り上げてきた日本固有のものです。そして、近年はさまざまなスタイルに変化している点も似ているのかもしれません。

私の最初の和菓子の記憶は、ちょうど今時分。今は亡き祖父がこしらえてくれた「水ようかん」でした。

何処でどう習ったのでしょう、当時にしては珍しく台所に立ち、何でも器用に料理した大好きな祖父でした。

夏は、寒天を水に浸け煮溶かしていくところから手際よく丁寧に、そして綺麗に私たち孫のためにキリッとよく冷えた美味しい「水ようかん」を作ってくれました。
 
50年もの時が過ぎた今も、蟬の声とゆっくり流れていた時間や味を鮮やかに憶えているのですから、祖父の「水ようかん」は、私という人格を作るうえでひと役を担った大事な菓子だったのだと思っています。

たかが「水ようかん」されど「水ようかん」とでもいいましょうか。

和菓子という言葉の中には、このような風情や景色が含まれているのだと思います。

話が飛躍して恐縮ですが、10年ほど前から私はニューヨークのジャズクラブやアメリカのフェスで日本の演歌を歌うことを始めました。演歌というジャンルのあり方に先細り感、閉塞感を持っていたからです。

日本固有の音楽ジャンルだからこそ、やり方次第ではもっとグローバルになる可能性があるという強い思いを持って。

ニューヨークの街に着くと私は必ず現地の和菓子の老舗を訪ね、そこでお気に入りの品をまず買うことから始めます。ジャズクラブの関係者や、ミュージシャンに毎度差し上げてから歌うことが習慣となりました。

日本の心がこもった和菓子と演歌。

今や、世界に向けて発信する時代のようです。

神野美伽
演歌歌手。1965年大阪府生まれ。高校卒業後、84年に「カモメお前なら」でデビュー。日本人初の韓国デビュー、ニューヨーク公演、ロックフェス、シャンソン、ジャズなどのコンサートに出演するなど国内外で活躍。ラジオ番組の司会や演劇、グラミー賞受賞アーティストとの共演など、活動の場は多岐にわたる。
宗家 源 吉兆庵
TEL 0120-277-327
https://www.kitchoan.co.jp/
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