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SNSへの投稿に“いいね”がつかず、精神的ストレスがたまる。専門家の回答は?

2024.09.04

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更年期世代のお悩み解決 心が楽になる“幸せ習慣” 第9回 今や生活の一部となったSNS。上手につきあうことは、日々の心の安定のためにも必要不可欠です。前野隆司先生・マドカさんご夫妻が幸福学の視点から、多くの人に共感され、喜ばれる投稿の仕方を伝授。「SNSは想像力を学ぶツールとしても役立つ」という独自の捉え方にも説得力があります。前回の記事はこちら>>

あからさまな承認欲求は共感を得にくい。発信は、好意的で役に立つ情報を

「SNSへの投稿に“いいね”がつかず、精神的ストレスがたまる」

前野隆司先生
前野隆司先生

まえの・たかし 工学博士。日本における幸福学研究の第一人者。武蔵野大学ウェルビーイング学部教授、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。

前野マドカさん
前野マドカさん

まえの・まどか 夫の隆司氏とともに幸福学を研究。幸せな社会を目指す会社「EVOL」を経営。幸せを広めるワークショップ、コンサルティング、研修活動、講演等を行う。

幸せ習慣

第三の居場所(サードプレイス)として、SNSを上手に使う

SNSを上手に使って人間関係や仕事を豊かに充実させている人がいる一方で、依存して生活に支障が出たり、投稿に反応がないことをストレスに感じる人もいます。

前野先生 ここまで深く日常生活に根づいてくると、SNSの使い方が心の安定に多少なりとも影響するのは当然といえますね。私の研究室で以前行った調査では、SNSで能動的に発信している人は幸せで、受動的に見るだけの人は受け取り方によって幸せな人と不幸せな人がいるという結果が出ました(下図)。他者の投稿を見てただ羨ましがるだけの人はSNSがストレス源になる傾向があるようです。

SNSの使い方(能動的か受動的か)と幸せ度の関係

慶應義塾大学前野研究室でSNSの使い方が能動的な人(情報発信している)と受動的な人(情報受理が主)の幸せ度を調べたところ、「前者はおしなべて幸せである」「後者は幸せな人と不幸せな人がいる」という結果が出た。後者の差は受け取り方による違いと推測される。これを図で表すと右のようになる。


SNSの使い方(能動的か受動的か)と幸せ度の関係
マドカさん アイディアや考え方を参考にして問題解決や新たな発想に生かせれば有効な使い方になります。ただ、見始めると切りがなく、無駄に振り回されたり偏った思考に陥りかねない怖さもありますね。

前野先生 ある研究でSNS上の友だちの数が増えるほど幸福度が上がるという結果が出ました。心の豊かさのためには家庭と職場以外の居場所(サードプレイス)が必要で、サードプレイスが3つくらいあると幸福度が高いという研究者もいます。上手に利用すれば、SNSが心の安定や幸福度の上昇に役に立つサードプレイスの一つになりうることは幸福学的にも明らかです。

マドカさん そのためには発信の仕方にも気をつけなければなりません。ただ「高級レストランで食事をしました」「5つ星ホテルのスイートルームに泊まりました」といった内容では「自慢したいだけ?」と反発する人も多いでしょうし、友だちが離れていくことにも。そんなつもりはなくても不特定多数に向けている以上、「見た人がどう捉えるか」を想像して共感される発信を心がけることが大事ですね。

前野先生 実はそれは少しも難しいことではなく、いくつかのポイントを押さえれば「共感されにくい内容」から「喜ばれる内容」に変換することができるのです。

イラスト/浜野 史 取材・文/浅原須美

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