〔特集〕世界のキッチンから届いた、絶品24皿 なす&とうもろこしの金メダルレシピ 日本では夏から初秋にかけて旬を迎えるなす&とうもろこしは、ともに古代を起源とし、海を渡り世界のさまざまな国で愛されている食材です。地域が変われば味わい方も変わる。今回は、世界6か国にゆかりのある方々のキッチンを訪ね、その国ならではの個性が光るご自慢レシピを教えていただきました。定番野菜の新たな魅力を発見する美味なる旅へ、いざ出発!
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[インド]スパイスが野菜の滋味を引き出す西インドのおいしい技
── マバニマサコさん(インド・スパイス料理研究家)
マバニマサコさん東京生まれ。イギリス系インド人の夫との結婚を機にロンドンに移住し、インド料理・スパイス料理の研究を始める。帰国後は執筆、料理教室、イベントなど多岐にわたって活動。著書は『いちから始めるインドカレー』、『西インド料理はおもしろい』(ともに柴田書店)など。
野菜中心の食文化が根づく西インドの家庭の味には、風味豊かなスパイスが欠かせません。
「インド料理では、甘・酸・塩・苦・辛・渋の六味のバランスの中で酸味がよい塩梅に入ることで深みが増すんです」と話すマバニさん。なす・とうもろこしの料理でも酸味がよいアクセントになっています。
例えばなすのスパイス焼き「バンゲチェカプ」に使われているのは「チャットマサラ」というマンゴーパウダーをベースにした、酸味が特徴のスパイス。ひとかけすれば一気にエスニックな雰囲気に。
とうもろこしライス「マカイバート」では、とうもろこしの甘さとレモン汁の酸味が絶妙なバランスを取っています。
イギリスにおいて“スパイスを識(し)ることは教養”。ワインのように奥深いスパイスの世界を旅しながら、旬の野菜をもっとおいしく、楽しく、味わい尽くしてみては。
バンゲチェカプ(なすのスパイス焼き)
●材料(作りやすい量)と作り方(1)なす1個(約260グラム)は1センチ幅に輪切りにしてから水につけ、キッチンペーパーで軽く押さえてからバットに入れ、しょうがの絞り汁大さじ2を混ぜておく。
(2)あらかじめ混ぜ合わせておいたA(チリパウダー・ターメリックパウダー・コリアンダーパウダー・ガラムマサラ・チャットマサラ 各小さじ1、塩小さじ1/2、ベサン粉または小麦粉大さじ2)を(1)の両面につけ、皿に並べて数分おく。
(3)なすが柔らかくなり焼き色がついたら、裏返して同様に焼く。
*チャットマサラがない場合は、食べる直前にレモンまたはライム果汁を適量(少量)かける。 リンガン バテタ ナ シャァク(なすとじゃがいものカレー)
●材料(2人分)と作り方(1)厚手の鍋に植物油大さじ1を入れ、弱めの中火で温め、クミンシード小さじ1/2を入れる。周りに泡が立ったらたたいてつぶしたにんにく大1かけを加え、香りがしてきたらひと口大に切ったじゃがいも中2個分を加え混ぜる。水90mlを加えてふたをして、時々混ぜながら加熱する。
(2)じゃがいもが透き通ってきたら、くし形に切ったなす中3個分、トマトのみじん切り中1個分を加え、ふたをして加熱する。
(3)トマトの形がくずれ始めたらコリアンダーパウダー小さじ2、ターメリックパウダー小さじ1/4、チリパウダー小さじ1/2(好みで増減)を加え混ぜ、さらにトマトペースト小さじ1、塩小さじ1弱(塩辛さにより調整)を加えて混ぜる。トマトが完全にくずれなすが柔らかくなるまで、時々混ぜながら加熱する。
とうもろこしのカチュンバ
●材料(作りやすい量)A{ とうもろこし(芯をはずしてゆでたもの)…中1本、 ひよこ豆(水煮)…3/4カップ、赤玉ねぎ(みじん切り)…1/4カップ、香菜(軽く刻む)…大さじ山盛り2、青唐辛子(みじん切り)…1本分、ミニトマト(種を除いてみじん切り)…5個分 }
B{ チリパウダー…ひとつまみ、ライムまたはレモン果汁…小さじ2強、砂糖…ひとつまみ、塩…小さじ1/4(好みで調節) }
●作り方(1)大きめのボウルにAを入れ、優しく混ぜ合わせる。
(2)Bも順に加えて混ぜる。冷蔵庫で1時間ほど冷やす。
リンガナバート/マカイバート(とうもろこしライス)
●材料(4人分)・バスマティライス…2カップ
・ターメリック…小さじ1/4
・塩…小さじ1と1/2
・植物油 大さじ2
・クミンシード 小さじ1
A{ しょうが・にんにく(みじん切り)…各 小さじ2、青唐辛子(みじん切り)…2本分 }
・とうもろこし(芯からはずしておく)…中2本
・レモン汁…40ml
*とうもろこし中1本からは約1と1/3カップの実が取れる。●作り方(1)バスマティライスに水を加え、3回ほどといでは水を替え、日本米を炊くのと同様の分量の水を加えて10分程度おく。
(2)(1)にターメリックと塩を加え混ぜ、炊飯器で炊く。炊き上がった米はしゃもじで返して空気を含ませるように混ぜておく。
(3)厚手のフライパンに油を入れ弱火で温め、クミンシードを加える。周りに泡が立ち始めたら、Aを加え混ぜながら加熱する。にんにくの香りがしてきたらとうもろこしを加え、混ぜながら加熱する。
(4)とうもろこしに火が通ったら、油ごと(2)に加えて混ぜる。最後にレモン汁も加えて混ぜる。
※なす、とうもろこしは多種多様な種類がありますが、本特集では材料表に言及がない限り、日本の晩夏~初秋に手に入る、一般的なもので作れるレシピをご紹介しています。(次回に続く。
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