日本の伝統工芸作家と現代アーティストが、ヴィンテージの“グッチ バンブー 1947”ハンドバッグに新たな命を注ぎ込む
グッチが日本で初めて正式に紹介されたのは、1964年のことです。日本上陸60周年を記念して、日本の伝統工芸作家や現代アーティストが、ヴィンテージの“グッチ バンブー 1947”ハンドバッグを用いてオリジナルの作品を作るというプロジェクトが実現しました。時を超えて、日本のものづくりとイタリアのクラフツマンシップが共鳴する──。そんな伝統と革新の物語をご紹介します。
重要無形文化財「彫金」保持者の桂 盛仁とその弟子である彫金家、北東尚呼が手掛けたバッグ10点。金工で竹のフォルムを再現したハンドルとクロージャーに緻密な象嵌や打ち出しを施し、クロコダイルやリザードなどのプレシャススキンのハンドバッグをエレガントに仕上げています。
Courtesy of Gucci
いまだかつてないコラボレート作品が並ぶ企画展「BAMBOO 1947:THEN AND NOW バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」の会場は、グッチ銀座 ギャラリー。会場6階でまず出迎えてくれるのは、1960年代初期のアーカイブから現在のクリエイティブ・ディレクター、サバト・デ・サルノによる新作まで、ずらりと並ぶ“グッチ バンブー 1947”をはじめとするバンブーハンドルのハンドバッグたちです。その数は約400点。創始者グッチオ・グッチのクリエイティビティと職人たちの卓越したクラフツマンシップにより誕生したバッグは、ブランドのアイコニックな存在として受け継がれ、現在もグッチのコレクションに欠かせない存在です。長い歴史の中で生まれてきた数々のハンドバッグを体感できる圧倒的な展示が、訪れる人をバンブーの美しい世界へと誘います。
世界的にも高名な写真家、森山大道のモノクロ写真を、1990年代前半のレザーに大胆にUVプリントしたハンドバッグ。会場でもひと際大きな存在感を放ちます。Courtesy of Gucci
7階のメイン会場に上がると、日本の伝統工芸作家と現代アーティストの手により、唯一無二のアートピースへと蘇ったヴィンテージの“グッチ バンブー 1947”ハンドバッグが勢揃い。彫金、漆、陶芸、写真、絵画……。人間国宝から新進気鋭のアーティストまで、7名の作り手が独自の技法を凝らした60点の作品が並びます。
漆師の渡慶次 愛は、ブラックレザーのバッグの表面に漆や金泊を施して。竹と漆という日本らしい自然の組み合わせが、心に響く美を奏でます。Courtesy of Gucci
特筆すべきは、各作家の技法が一枚のレザーの状態で施されるのではなく、すでにバッグとして形作られた立体のものに駆使されていること。例えば漆。「通常木の肌に塗る漆を、立体的なレザーにどう塗るか。フラップ部分が割れないようにするにはどうしたらよいのか。いまだかつてない挑戦は、試行錯誤の連続でした」と漆師の渡慶次 愛さんはいいます。また、磁器でハンドルとクロージャーを制作した陶芸家の中里博恒さんも、「手びねりでの形成はろくろ形成と焼成時の収縮率が異なるため、削っている最中に何度もハンドルが折れることがあった」とその苦労を語ります。グッチの専任アーキビストが厳選した1980年代~90年代のヴィンテージバッグに、日本の匠の技、そして芸術的な美学を注ぎ込むという背景には、作り手のグッチに対するリスペクトとともに、すでにある美しいものをさらに美しく極めたいという、ものづくりに対する途方もない探求心があったのです。
ヴィンテージをアップサイクルし、それを唯一無二のアートへと昇華させたバッグは、創業100年を超えてさらに進化を続けるブランドの哲学を伝え、日本とイタリアの絆の強さを、そしてクリエイティビティとクラフツマンシップを極めた先にある美の真髄を物語ります。あなたも「BAMBOO1947:THEN AND NOW バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」を訪れ、国境を超えて響き合う美の世界を堪能しませんか。
磁器製のハンドルとクロージャーは陶芸家、中里博恒の作品。竹の節の位置や数など、試行錯誤の上、手びねりで完成させたそれは、本物の竹のように美しくバッグに寄り添い、機能性も充分考えられています。
Courtesy of Gucci
ブラウンのレザーのボディに、シンプルながらモダンなパターンを描いたのは、画家の八重樫 ゆい。さまざまな色彩の絵の具がフリーハンドで重ねられています。
Courtesy of Gucci
LOVE、SKY、painting……。画家、横山奈美の代表作である、「ネオンシリーズ」をモチーフに作られた作品。グリザイユ技法という古典技法を駆使し、色の陰影を施すことで、まるで写真のように緻密な絵に仕上げています。
Courtesy of Gucci
「BAMBOO 1947:THEN AND NOW バンブーが出会う日本の工芸と現代アート」展
会期:開催中~9月23日(月・祝)(無休)
場所:グッチ銀座 ギャラリー(東京都中央区銀座4-4-10 グッチ銀座6、7階)
時間:11時~18時(最終入場17時)
無料、予約不要
URL:
https://www.gucci.com/jp/ja/nst/bamboo-1947-ginza※開催内容、時間は予告なしに変更になる場合があります。
※60点のバッグは購入可能です(300万円台~1500万円台/税別)