「寝不足だからかな?」と思っていたことは、実は脳の疲労によるものかもしれません。行動や姿勢など、脳がちゃんと働いているのかを知るサインはさまざま。脳と質の良い睡眠の仕組みを、作業療法士の菅原洋平さんに教わります。
※この記事は、発売中の『からだにいいこと』2024年10月号より一部抜粋・再編集しています。
教えてくれたのは…菅原洋平さん
作業療法士。国立病院機構にて脳のリハビリテーションに従事。現在はベスリクリニックの睡眠外来を担当。著書に『働く人の疲れをリセットする快眠アイデア大全』(翻泳社)他。
「脳は本来、行動するための情報を仕入れる臓器です。しかし、整理しきれないほど大量の情報が入ってくると、眠れない、疲れが取れないなどの脳疲労状態に陥ります」と、作業療法士の菅原洋平さん。
脳が疲れていると、眠りを妨げる 現象が起こると言います。
●タンスの角などに足をぶつける脳が把握している体の動きを正確に解析できず、動作が雑になることで生じます。脳が元気だと体は思っていた通りに動きます。
●相手の言動を受け流せない脳の肩桃体は、脳が疲れているときに過敏に働きます。相手の言動を自分に害があるように感じ、攻撃的になってしまうことも。
●周りの音で集中できない脳が疲れていると、聴覚が過敏に。周囲の音やざわつきが気になってしまい、ものごとに集中できなくなってしまいます。
●頬杖をつく、脚を組む姿勢を維持し、重力に抵抗するする筋肉は、脳の疲労とともに活動が低下。体を支えられず、頬杖をつ<、脚を組むなど姿勢が崩れます。
●やることを忘れてしまう情報をいったん脳にとどめ、必要時に思い出す「ワーキングメモリー」という脳の機能がうまく働いていない状態です。
●髪や顔をよく触る脳を無理やり覚醒させようと「ヒスタミン」が過剰に増えるため、仕事や会話中に髪などを触ってしまいます。かゆみが出るケースも。
●あめを途中で噛む脳を覚醒させる物質「セロトニン」が不足している状態。あめをリズムよく噛むことでセロトニンの分泌を促そうとしています。
脳の疲労を取るには、前半に深い眠りに入り、後半に脳が起きる準備をしてスッキリ目覚める睡眠が理想。前半と後半の睡眠をつなぐ役割をするのが睡眠ホルモン「メラトニン」です。
夜になっても脳がヒートアップして疲れていると、 眠気を感じにくくなる傾向が。寝る前に脳を鎮静し、脳の疲れを取っておくと「眠いから眠る」という自然な状態で深い睡眠に入れます。※次回詳しくご紹介します(9月18日公開予定)。
睡眠には脳疲労をリセットする働きがあり、睡眠の質が高いほど、脳の機能が回復しやすくなります。質の良い睡眠をとるために、頭部を冷やしたり、安眠フレーズを唱えるなど、ベッドに入ってからできるひと工夫(『からだにいいこと』10月号で詳しくご紹介しています)をぜひ実践してみてください。
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『からだにいいこと』2024年10月号
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URL:https://www.karakoto.com/
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この記事は、『からだにいいこと』2024年10月号の内容を抜粋・再構成したものです。監修/菅原洋平 イラスト/SAKIPON、中根ゆたか