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西日本を代表する名字「田中」。“田んぼの中”に住むことは、富と有力な一族の証し

2024.10.06

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

田中(たなか)

今では米どころといえば東北や新潟県を思い浮かべますが、かつては米の主な産地は西日本でした。従って、「田中」さんは西日本に多く、「山本」とともに西日本を代表する名字となっています。もちろん東日本でも少ないというわけではなく、沖縄県を除くすべての都道府県で50位以内にランクインするなど、全国に広がっています。

江戸時代以前の日本は、米を経済の基本に据えていました。そのため、米をつくる田んぼは生活の根幹でした。「田中」とは「田んぼの中」という意味。見渡すかぎりの広い田のまん中に住むことは、富と有力な一族の証しでもあったはずです。

「田中」という名字は比較的新しいものというイメージが強いですが、実はかなり古い時代からありました。


蘇我氏の一族で、大和国高市郡田中(現在の奈良県橿原市田中町)を本拠とした古代豪族の田中氏がいたことが知られています。『日本書紀』には、623年に推古天皇が新羅を討とうとした際に、田中氏が反対したという記録があります。また、茶人千利休の幼名は田中与四郎で、「千」を名乗る前の名字は「田中」でした。

古代から現代まで、田んぼは日本人の生活の中心にあり続けたもので、それに因むのが「田中」なのです。

森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家 1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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