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「阿倍」「安倍」「安部」さんのルーツの違いはあるの?【名字365】

2024.10.22

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墨アート製作/越智まみ

名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。連載一覧はこちら>>

阿部(あべ)

「あべ」と読む名字には、他にも「阿倍」「安倍」「安部」などいろいろありますが、もとはすべて同じだと考えられます。漢字の伝来以前からいる古い一族「あべ」氏に対して、あとから漢字をあてた際にいろいろなパターンができたものでしょう。そして、現在その中で最も多いのが「阿部」です。

古代には「阿倍」と書く氏族が栄えました。平安時代にはこの一族から陰陽師の安倍清明が出て、以降は「安倍」が主流となりました。

江戸時代には徳川家の重臣だった「阿部」氏が栄え、以降「あべ」は「阿部」で代表されることが多くなりました。現在でも「阿部」が全国順位23位と最も多く、東北から北関東にかけて集中しています。


この「あべ」一族のルーツは奈良県桜井市にある地名です。第8代孝元天皇の子孫と伝え、ヤマト王権で北陸・東国経営に大きく関わって「あべ」一族は東日本に栄えたのです。

平安時代に東北で大きな勢力を持っていた安倍貞任も、大和の阿倍氏と関係があったと思われます。しかし、前九年の役で、安倍貞任・宗任兄弟が源頼義に討たれ衰退しました。

その後、戦国時代に徳川家康に仕えた阿部氏が武家として栄え、江戸時代に多くの大名家や旗本家を輩出、さらに各地の藩の藩士にも多くの阿部家が誕生しました。現在では東北を中心に東日本に広がっています。

森岡浩/Hiroshi Morioka
姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。

墨アート製作 書家・越智まみ(https://esprit-de-mami.com/

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