名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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珍しい名字:二十里(にじゅうり)
群馬県明和町にある名字です。「二十里」と書いて「にじゅうり」と読むので難読ではありませんが、名字としてはかなり珍しいものです。この名字には由来が伝わっています。
二十里家の先祖は楠木正成の家臣だったといいます。そして名字の由来は、武蔵国で戦に敗れて敵に追われた際、20里逃げた地で追手から逃れて住み着いたことから、「二十里」を名字にしたと言われています。
ところで、今ではほぼ使われなくなりましたたが、「里(り)」は戦前までは距離の単位として日常的に使用されていました。1里は約4kmです。ということは、20里とは80kmになります。いくら戦に敗れたとはいえ、80kmも走って逃げるというのはあまり現実的ではありません。
実は、1里が約4kmと定められたのは江戸時代のことで、それ以前は里の長さは地域によって異なっていました。多くは500m前後だったと言われています。とすると20里は10kmとなり、これなら命がかかっていれば走ってでも逃げたと思います。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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