名字365 姓氏研究家の森岡 浩さんが日本人の名字を毎日紹介します。あなたの意外なルーツが分かるかも?知れば知るほど面白い、名字の世界をお届けします。
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木村(きむら)
「木村」という名字のルーツには地名もありますが、木村という地名はそれ程多くはなく、木村さんの多くは地形由来ではないかと思われます。
全国ランキングは18位、都道府県単位でみると、青森県、茨城県、滋賀県、京都府の4府県で10位入りし、13府県で上位20位までに入っているなど、ほぼ全国にまんべんなく分布しててます。なかでも最も多いのは青森県で、とくに津軽地方に集中しています。
歴史的に知られる木村一族として最も有名なのが、下野国都賀郡木村(現在の栃木県栃木市)をルーツとする木村氏です。藤原北家の藤原秀郷の末裔で、足利有綱(室町将軍家とは別系統の足利氏)の五男信綱を祖とし、信綱は鎌倉幕府の歴史書『吾妻鏡』にも登場しています。
また、各地の「木村」には別の由来もありそうです。
というのも、古代豪族の紀(き)氏はもともとは木氏を名乗っており、その木氏のいた場所が「木村」で、そこに住んだ人が「木村」を名乗ったという可能性があるのです。このあたりはまだ研究の余地が残されています。
森岡浩/Hiroshi Morioka姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部在学中から独学で名字の研究をはじめる。長い歴史をもち、不明なことも多い名字の世界を、歴史学や地名学、民俗学などさまざまな分野からの多角的なアプローチで追求し、文献だけにとらわれない研究を続けている。著書は「全国名字大辞典」など多数。
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