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自覚症状がないまま、死に至る病気を発症することも。「高血圧」はどんな病気?

2024.10.11

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サイレントキラーの病に備える 第10回(1)前触れもないまま起こる脳卒中や心筋梗塞、大動脈解離などの背後には高血圧があることがほとんどです。サイレントキラーの代表格といえる高血圧の予防や診断について、佐賀大学医学部長で、日本高血圧学会理事長を務める野出孝一先生に伺います。前回の記事はこちら>>

“気づいたときには手遅れ”にならないように「高血圧」

[お話を伺った方]
佐賀大学医学部長
循環器内科・内科主任教授
野出孝一(ので・こういち)先生
1988年佐賀医科大学卒業、97年大阪大学大学院博士課程修了。同年米国ハーバード大学医学部に留学。2002年に佐賀大学医学部内科学講座循環器内科主任教授に就任、16年から同大学医学部内科学講座主任教授を兼任。23年から同大学医学部長・大学院医学系研究科長。22年から日本高血圧学会理事長を務める。

1988年佐賀医科大学卒業、97年大阪大学大学院博士課程修了。同年米国ハーバード大学医学部に留学。2002年に佐賀大学医学部内科学講座循環器内科主任教授に就任、16年から同大学医学部内科学講座主任教授を兼任。23年から同大学医学部長・大学院医学系研究科長。22年から日本高血圧学会理事長を務める。

ストレスで一時的に高血圧になることもある

血圧とは、血液が血管の壁を押す力のことです。心臓が拍動して血液が押し出され、心臓が収縮したときには、血液が血管壁を強く押すため、血圧が上がります。これが収縮期血圧(最高血圧)です。そして、心臓が拍動する前に心臓内に血液がたまって心臓が拡張すると、血管壁の緊張が緩んで血圧が下がります。これが拡張期血圧(最低血圧)です。

血圧は常に変動しています。就寝時は低く、朝、活動を始めると高くなる日内変動のほか、冬は夏よりも高めになる季節変動があります。また、寒い場所に急に出たとき、運動をし始めたとき、排便で息んだときなどには高くなります。


「子どもの受験、介護などでストレスがかかる時期が続くと、一時的に血圧が高い状態が続くこともあります」(野出孝一先生)。

家や運動施設など医療機関外で測定したときの正常値は、収縮期血圧135mmHg未満・拡張期血圧85mmHg未満です(家庭血圧)。また、医療機関内で測定したときの正常値は、収縮期血圧140mmHg未満・拡張期血圧90mmHg未満です。これらの収縮期血圧または拡張期血圧のどちらか、あるいは両方が正常値を上回ると高血圧の可能性があります。

高血圧が引き起こす病気・症状

●動脈硬化
●脳卒中(脳出血・脳梗塞)
●狭心症・心筋梗塞
●心不全
●動脈瘤およびその破裂・動脈解離
●慢性腎臓病
●腎硬化症
●眼底出血 など

自覚症状がないまま死に至る病気を発症することも

高血圧はサイレントキラーの代表です。血圧がかなり高くなったときに頭痛やめまい、震えなどが起こることがありますが、通常は自覚症状はほとんどありません。高血圧により静かに動脈硬化が進んでいき、狭心症・心筋梗塞、脳卒中、眼底出血といった大きなダメージが起こって、死に至ることもあります。

最近、患者数が増えているのが、動脈瘤(動脈壁の一部がふくらんだもの)の破裂、動脈が裂ける動脈解離です。いずれも動脈硬化によって変性した動脈の壁がいきなり裂けるもので、特に胸部、腹部の太い動脈で起こると死亡率が非常に高く、すぐに治療する必要があります。ただ、動脈瘤ができていても、また動脈壁が傷んでいても自分で気づくことはできません。

「動脈瘤破裂も動脈解離も高血圧が原因となります。特に血圧が急に上がる朝に起こることが多いのです。だからこそ、もともとの血圧を下げておくことが予防になります」。

(次回へ続く)

・連載「サイレントキラーの病に備える」の記事一覧はこちら>>>

この記事の掲載号

『家庭画報』2024年10月号

家庭画報 2024年10月号

取材・文/小島あゆみ

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