スパニエル犬たちの母親の名は「ロージー」
ラブラドールたちの母親はパーシーでしたが、スパニエル犬たちの母親はチョコレート色をした「ロージー」です。パーシーを飼い始めた年にレディ・フィオーナが夫と息子へ贈ったクリスマスプレゼントでした。
ロージーの子は、雄の「ウィンストン」と雌の「クレメンタイン」です。このロージーも、本当におばあさんになってしまって、今では目がよく見えませんが、それでも元気です。その他に血縁ではない「エヴィー」が1匹います。
左から、スクービー、ウィンストン、エヴィー、アルフィー、ロージー、ベラ。この日はクレメンタインが不在でした。
ロージーの娘、クレメンタインが子犬を産んだ記念すべき日、たまたま私はハイクレア城を訪問しました。
「明け方、クレメンタインが子犬を4匹産んだので昨晩はぜんぜん寝ていないのよ!」と開口一番にレディ・フィオーナが声を弾ませました。犬小屋にご一緒した際、産後で気が立ったクレメンタインが、警戒した目つきで私を見つめていたのが、今でもはっきりと思い出されます。
子犬とリュック、右から2番目がクレメンタイン。子犬たちがもらわれて行く際には、伯爵夫人が一匹一匹にドッグフードと血統書が入った小さなリュックサックをもたせて、別れを惜しんだそうです。
次回は、ハイクレア城で暮らす馬をご紹介します。「
ハイクレア城に暮らす」第10回は4月9日(月)配信予定です。
●フィオーナ・カナーヴォン伯爵夫人/ロンドン生まれ。6人姉妹の長女。 セント・アンドリューズ大学で英語とドイツ語を専攻、ロンドンで国際会計士として働く。1999年カナーヴォン伯爵と結婚。一人息子エドワードの母。ハイクレアのガイドブックをはじめハイクレアに関する数々の著書を出版、歴史家として知られる。趣味は乗馬、読書。オフィシャル・サイトは
https://www.ladycarnarvon.com/ 山形優子フットマン/Yuko Yamagata-footman
フリーライター
上智大学文学部社会学科卒業。カルフォルニア州立大学心理学科でヒューマニスティック・サイコロジーを専攻、修士課程修了(ロータリー財団奨学生)。新聞記者を経てフリーライターに。在英約30年。イギリス人男性と結婚、3人の娘の母。著書に『憧れのイングリッシュガーデンの暮らし』(エディシォンドゥパリ)、『なんでもアリの国イギリス なんでもダメの国ニッポン』(講談社文庫)他。
構成/樺澤貴子